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NVIDIAの創業者兼CEOジェンセン・フアン氏は、ドイツ・ベルリンで開催された「GTC Berlin 2026」の基調講演に登壇し、欧州テクノロジーエコシステムへの約100億ドルの投資コミットメントとともに、次世代のコンテナ型モジュールAI工場「NVIDIA DSX POD」やAIエージェント安全基盤「NVIDIA OpenShell Reference Architecture」、リファレンスヒューマノイド「Agile ONE SN」など多岐にわたる新製品群を発表した。
基調講演においてフアン氏は、L'Oréal、Spotify、Porsche、Siemensなど欧州大手企業との協業を強調し、欧州全体で約100億ドル(約1兆5,000億円規模)をAIエコシステムに投資していることを明らかにした。
インフラ面での目玉として発表された「NVIDIA DSX POD(コンテナ内に事前検証済みAIインフラを統合したモジュール型データセンター設計)」は、パートナー企業がモジュール型コンテナ内にVera Rubin世代のAI工場インフラを事前に統合・検証して納品するリファレンス設計である。インフラ設備が整っていれば、従来6か月を要していた現地でのデータセンター展開期間をわずか14日に短縮できるという。さらに、水冷用の水消費を最大100%削減し、消費電力を最大30%削減する高い環境効率を誇る。
フアン氏は、AIモデル単体から自律的に推論・ツール活用を行う「エージェント型AI」への移行を強調した。エージェントを「モデル、ハーネス、サンドボックス、知識、ツール」の5要素で定義し、安全性の確保が最重要の工学的課題であると指摘した。
その解決策として発表されたのが「NVIDIA OpenShell Reference Architecture(カーネルレベル隔離とDPU監視を組み合わせたAIエージェントの安全実行基盤)」である。カーネルレベルのサンドボックスを備えたオープンソースランタイム「OpenShell」と、BlueField-4 DPU上で動作する監視ソフトウェア「NVIDIA Sentry」を組み合わせ、エージェントが権限外の動作を行おうとした際にミリ秒単位で隔離・遮断する仕組みを提供する。さらに、企業データをエージェントと接続するための「NVIDIA Agent Knowledge Foundation」や「NVIDIA Kumo」モデルも公開された。
実世界で動作する「フィジカルAI」領域でも大きな進展が発表された。
| 発表カテゴリー | 主な内容・製品 |
|---|---|
| ヒューマノイドロボティクス | Agile Robots社製リファレンス人型ロボット「Agile ONE SN」(31自由度、Jetson Thor搭載、2027年提供予定) |
| 通信インフラ | T-MobileおよびNokiaと連携し、CUDAを活用した商用セルラー通話に世界で初めて成功 |
| 自動車・モビリティ | 自律走行基盤「NVIDIA Hyperion」にVolvo Cars、Mercedes-Benz、Volkswagenなどが参画 |
| ローカルAI | 先週発売された「RTX Spark」上で自律エージェントがHugging Faceの小型ロボット「Microduck」をシミュレーション訓練するデモを実演 |
コンテナ型AI工場である「DSX POD」は、日本国内で課題となっているデータセンター用地の不足や電力・水資源の制約に対して、迅速かつ高効率にAIインフラを立ち上げる有力な選択肢になり得る。
ただし、DSX PODの日本国内での提供パートナーや具体的な価格体系、ならびにAgile ONE SNの国内供給計画や電波法・安全認証等の対応状況は現時点で未確定であり、日本国内の導入時期や調達条件については今後のパートナー各社からの追加発表を確認する必要がある。
今回の基調講演は、NVIDIAがGPUハードウェアの単体提供にとどまらず、コンテナ型AI工場の物理設計から、エージェントの安全性ランタイム、さらには人型ロボットの躯体・シミュレーション基盤に至るまで、AI時代に必要なすべてのレイヤーを垂直統合しつつオープンに提供する姿勢を強く印象づけた。
引用元:NVIDIA Blog