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米イーロン・マスク氏が率いるAIデータセンター企業「SpaceXSI」が、最新AI「Grok(xAIが開発するフロンティアAIモデル)」を駆動する大規模インフラ拠点近隣の住宅地を対象に、異例の買収攻勢を仕掛けている。ミシシッピ州サウスヘイブンの発電所周辺に位置するコロニアル・ヒルズ地区の418世帯に対し、GPU稼働用ガスタービンの騒音公害を巡る集団訴訟に参加しないことを条件に不動産買収を提示し、すでに18世帯が合意に至ったことが明らかになった。

英ガーディアン紙(The Guardian)の報道によると、SpaceXSIの委託を受けた不動産業者が住宅地を一軒一軒訪問し、住民に対して売買契約を提示している。買収対象となっているコロニアル・ヒルズ地区は、同社データセンターへ電力を供給する発電施設からわずか約0.5マイル(約800メートル)の距離にある。
買収契約には重要な条件が付されている。住民がデータセンターのGPU冷却や電力供給に用いられるガスタービンから発生する騒音被害について、集団訴訟(クラスアクション)に加わらないこと、あるいは騒音苦情の申し立てを取り下げることが売却の前提となっている。Tom's Hardwareによると、すでに18名の住宅所有者がこの提案を受け入れ、合意文書に署名したという。
この地域で「Colossus II」データセンター拠点を運営するSpaceXSI傘下の子会社MZXは、周辺住民に向けて公開書簡を配布し、「事業目的のために土地・建物を必要としている」と説明した。
サウスヘイブン市のダレン・マッスルホワイト(Darren Musselwhite)市長は、同社が買い取った住宅について、事業拡張に伴って増員されるSpaceXSIの従業員向け宿舎として活用される見通しであると述べている。さらに、マスク氏自身もGrok向けデータセンターの急速な建設・立ち上げを自ら指揮するため、現地にキャンピングトレーラー(エアストリーム)を持ち込み、週4日滞在していると報じられている。
今回の買収を巡っては、提示されている金額や契約の法的効力に関して複数の未確定事項が残されている。
Grokをはじめとする最先端AIモデルの学習・推論には、数万基から十数万基規模のGPUクラスタと、それを連続稼働させるための膨大な電力が不可欠となる。送電網の容量不足を補うためにデータセンター敷地内外へ独自にガスタービン発電機を急速増設する手法は、建設期間を短縮できる反面、周辺住民への騒音や排気といった深刻な環境負荷をもたらしている。
SpaceXSIによる今回の住民買収は、訴訟リスクの早期封じ込めと増員スタッフの居住地確保を同時に狙った強硬な措置とみられる。しかし、AIインフラの拡張が地域社会と衝突する事例として、今後のデータセンター開発における環境規制や住民対話のあり方に大きな課題を投げかけている。
引用元:Tom's Hardware