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米Microsoftは2026年10月28日(現地時間)、2027年度第1四半期(2026年7~9月期)の連結決算を発表した。クラウドとAIサービスに対する旺盛な企業需要が牽引し、売上高は前年同期比19%増の922億7,900万ドル、純利益はGAAP(米国会計基準)ベースで32%増の366億2,900万ドル(希薄化後1株当たり利益4.92ドル)に達した。特にパブリッククラウド「Azure」の売上高が前四半期の43%増を上回る48%増と成長を加速させた。
Microsoftは当四半期より、従来の3事業セグメントを「Agents and Infra」と「Devices and Consumer」の2部門へと抜本的に再編した。クラウドとAIを中核とするAgents and Infra部門が業績全体を大きく牽引している。
| 事業部門 | 売上高 | 前年同期比 | 主な事業とハイライト |
|---|---|---|---|
| Agents and Infra | 767億9,500万ドル | +25% | Azure(+48%)、Microsoft 365商用クラウド(+17%)、GitHub |
| Devices and Consumer | 154億8,400万ドル | -3% | 検索広告(+12%)、Windows OEM(-27%)、Xbox(-2%) |
企業向けAI開発基盤「Microsoft Foundry」の顧客数は12万社を超え、売上高は前年同期の3倍以上に拡大した。さらに、自律AIエージェントの管理・統制基盤「Agent 365」に登録されたエージェント数は5,000万超に達し、前四半期比で30%以上の急増を見せている。
一方、Devices and Consumer部門では検索広告(トラフィック獲得コスト除く)が12%増と堅調だったものの、前年のWindows 10サポート終了に伴う特需の反動と世界的なPC需要低迷により、Windows OEM売上が27%減と大きく落ち込んだ。
サティア・ナデラCEOは会見で、同社独自の大規模言語モデル開発に関する最新状況を明かした。新たな基盤モデル「MAI Base 2」の事前学習を完了しており、既存のオープンウェイトモデルと比較して学習時の計算効率が4〜12倍向上したという。今後は推論、コーディング、サイバーセキュリティの特化モデルへ展開する計画だ。
AIの利用規模も拡大を続けている。Microsoft Copilotのデイリーユーザー数は前四半期比で約50%増、前年同期比では5倍以上に達した。5万シート以上を一括契約する大企業顧客数は前年同期の8倍を超え、独Volkswagenグループが33万人以上の全従業員への導入を決定した。
開発者向けプラットフォームのGitHubでもエージェント活用が進み、AIエージェントが作成するプルリクエスト(PR)数は過去6カ月で6倍に増加し、全体の3分の1以上を占めるに至った。インフラ面では当四半期に世界5大陸で24のデータセンターを新設し、NVIDIAの次世代GPU「Rubin」の配備や独自AIプロセッサ「Maia 200」の導入を推進した。次期(10~12月期)の設備投資額は500億ドル超に達する見込みだ。
日本のエンタープライズ・クラウド市場への影響
日本企業の間でも社内業務へのCopilot導入やAzure OpenAI Serviceの基幹システム連携が本格化している。今回公表されたMAI Base 2のように、オープンモデルと同等以上の性能を低計算コストで実現するモデルがAzure上で提供されれば、国内企業のAI運用コスト低減に寄与する。また、5,000万件超のエージェントを束ねるAgent 365の運用実績は、日本企業が社内自律エージェントの統制・監査体制を構築する上での重要な指標となる。
財務的リスクと未確認事項の整理
今回の業績では、前年同期に計上された約31億ドルのOpenAI関連損失の剥落や今期の2億700万ドルの純利益押し上げにより、GAAP純利益の増益率(32%増)が非GAAP(18%増)を上回った。急拡大を続ける四半期500億ドル超の設備投資に対する減価償却費の増加が、今後の営業利益率に与える影響や、NVIDIA RubinおよびMaia 200の供給キャパシティの充足度については、今後の推移を注視する必要がある。
今回の決算は、Microsoftが従来のOS・オフィスソフト中心のソフトウェア企業から、「AIインフラと自律エージェント基盤の支配的プラットフォーム」へと完全に脱皮したことを決定づけた。
PC市場の低迷によるWindows OEMの落ち込みを、Azureの48%成長とクラウド・AI部門(Agents and Infra)が完全に相殺・凌駕する構造が出来上がっている。四半期500億ドルという空前の設備投資を敢行しつつ、自社モデル(MAI Base 2)と独自チップ(Maia 200)で計算効率を極限まで高める戦略は、他社に対する強固なコスト優位性とインフラ防御壁を構築しつつある。
引用元:ITmedia NEWS