企業固有のガバナンスデータをAIの競争優位性に変える新機能を拡充
米Microsoft (クラウド基盤Azureやビジネスソフトを展開する米国のIT大手) は、スペイン・バルセロナで開催されたカンファレンス「FabCon Europe 2026」において、同社の統合データ分析プラットフォーム「Microsoft Fabric (データエンジニアリングからBIまでを包括するMicrosoftの統合データ基盤) 」およびAzure Databasesに関する一連のAI新機能を発表した。企業が蓄積してきた独自の業務知識やガバナンスデータを、AIモデルの回答や自律処理の確かなグラウンディング(根拠付け)として活用するための機能が中核となっている。
引用元 :Microsoft Source LATAM
主要な新機能:Fabric IQの一般提供と自律型エンジニアリング
今回の発表における主な新機能は以下の通りである。
Fabric IQの一般提供 : Microsoft Copilot (ビジネスデータを基盤とするMicrosoftの対話型AIアシスタント) ChatおよびCoworkにおいて、Power BIのセマンティックモデルや指標定義に基づいた回答生成を行う「Fabric IQ」が一般提供(GA)された。売上予測や経営指標を質問した際、社内標準モデルと同一の数値・定義に基づいて回答するため、数値の食い違いを防ぐことができる。
IQ Sharing(プレビュー) : 組織内外のパートナーや顧客との間で、ガバナンスとアクセス制御を維持したままデータとその背景にあるビジネス文脈を安全に共有する機能。
エージェント型データエンジニアリング : 2026年1月に買収したOsmosの技術を基盤とし、人間がゴールと境界条件を設定することで、AIエージェントがデータパイプラインの構築・検証・調整を自律実行する。
Fabric Observability : システムの稼働状況を監視し、AIを活用した「Operations Agents」が障害原因の特定や対応の自動化を担う。
Database Hub in Fabric(パブリックプレビュー) : SQL Server、Azure SQL、PostgreSQL、Cosmos DBなどを一元管理するコントロールプレーン。VS Codeや管理画面からトラブル調査を支援するデータベース特化エージェントも提供される。
SQL Server on Azure Localの一般提供 : 規制環境やクラウド接続が制限された環境向けに、ローカル環境でSQL ServerとAzureサービスを実行可能にする。
従来データ基盤との違いとアーキテクチャの進化
機能領域 従来のデータ管理 Microsoft Fabricの新機能 BI・AI連携 各ツールごとに異なる数値・解釈が発生 Fabric IQによりPower BIセマンティックモデルに統一 データエンジニアリング 手動でのパイプライン記述と保守 エージェントによる自律設計・実行・検証 DB運用管理 データベース種別ごとの個別監視 Database Hubによる一元管理とAI支援 データ共有 データ複製やサイロ化のリスク OneLakeショートカットとIQ Sharingによる文脈共有
企業向けAIにおける「データ主権とガバナンス」の重要性
Microsoftが示した方針は、単に最先端の大規模言語モデルを利用可能にするだけでなく、自社独自のデータ資産と業務ルールを強固なガバナンスの下でAIに接続させることにある。これにより、特定のAIモデルプロバイダーに過度に依存することなく、継続的な学習と改善のサイクルを自社基盤上で構築できる。今後開催される年次イベント「Microsoft Ignite」においても、これらのデータ連携機能がFrontierエコシステム全体へと拡張される予定である。
引用元:Source LATAM