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セキュリティ研究者のSammy Hajhamid(サミー・ハジハミド)氏は、米OpenAIのコード生成AI「 Codex(プログラムコードの生成・解析に特化したOpenAIの言語モデル) 」に実機ゲーム機を自律操作させ、任天堂の最新ゲーム機「Nintendo Switch 2」のセキュリティを突破して非公式プログラムを実行可能にする 脱獄(機器の制限を解除し非公式ソフトを実行可能にする行為(ジェイルブレイク)) 手法「ns2jb」を公開した。本体の物理改造やModチップの半田付けを必要とせず、ソフトウェアのみで脆弱性を突いて動作させることが特徴である。

ハジハミド氏は、Codexが人間を介さず実機上で試行錯誤を行える自動化検証環境を構築した。映像取得とコントローラー入力の送信にはオープンソースの遠隔操作デバイス「JetKVM」を用い、AIがSwitch 2の画面を視覚認識しながら操作を行えるようにした。さらに、検証中にゲーム機本体がフリーズ・クラッシュした際に備え、電源ボタンを物理的に押下して再起動できる「SwitchBot」を設置した。この「目・手・指」の組み合わせにより、AIエージェントが約2週間にわたって自律的に探索を繰り返した。
Codexはまずブラウザエンジン「WebKit」の既知脆弱性を調査したが十分な実行権限を得られず、方針を転換した。そこで着目されたのが、Switch 2でも後方互換動作するプログラミングソフト「プチコン4 - SmileBasic」である。Codexはプチコン4の数値計算処理に起因するメモリ領域の不正アクセス挙動を特定した。
続いてハジハミド氏とCodexはSwitch 2本体のファイルシステム管理機構「fs」に存在する不備を組み合わせることで、正規プログラムの署名検証プロセスを回避し、任意の非公式プログラムを実行させることに成功した。実証実験として、Switch 2専用タイトル「マリオカート ワールド」のゲーム内モデルを外部キャラクターに差し替えるMOD制作が行われ、Codexを活用してわずか1日で改造コードが生成された。
本研究で示された手法の位置付けと、実用面における制約は以下の通りである。
| 比較項目 | 初代Switch初期の脱獄(Fusée Gelée等) | 今回発表されたns2jb(Switch 2) |
|---|---|---|
| 実行手法 | リカバリーモード(RCM)のハードウェア欠陥 | ソフトウェアの脆弱性連鎖(プチコン4 + fs) |
| 物理的介入 | ジグ(短絡部品)の装着や半田付け | 不要(本体無改造で動作) |
| 永続性 | 再起動後も特定手順で復帰可能 | 非永続型(コールドブート後は再実行が必要) |
| 動作要件 | USBホスト機器(PCやスマホ) | Linux/macOS搭載PCおよび特定ソフト(プチコン4) |
本事例の最大の意義は、脱獄自体の成否にとどまらず、ソフトウェア内に閉じていたAIモデルが「外部ハードウェア操作デバイス」と接続されることで、実機相手のファジング(未知の不具合を炙り出すランダムテスト)や脆弱性探索を自律完結させた点にある。従来は高度なリバースエンジニアリング能力を持つ専門家が数週間から数か月かけて行っていたハードウェア解析作業が、汎用AIモデルと安価なIoT機器の組み合わせによって劇的に低コスト化・高速化されることを実証しており、今後の機器セキュリティ防衛側にとっても大きな教訓となる。
引用元:GIGAZINE