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米Anthropic(アンスロピック)でAIのリスク評価を担うFrontier Red Teamは、AIモデル「Claude(Anthropicが開発する対話型AIアシスタント)」を用いてソフトウェアのアタックサーフェス(外部の攻撃者が到達可能なコードや侵入経路の範囲)(攻撃対象領域)を分析し、大幅に縮小する研究成果を公開しました。脆弱性を1件ずつ探して修正する従来型の手法とは異なり、攻撃者が到達できる不要なコード経路そのものを遮断することで、未知の脆弱性が悪用されるリスクを根本から低減するアプローチを実証しています。
研究チームは、C、C++、Java、PHP、Pythonなどで記述された計25件(総行数500万行超)のオープンソースプロジェクトを対象に検証を実施しました。Claudeが洗い出した1万7,000以上の設定項目のうち、セキュリティに関連する3,842項目を精査した結果、合計493件の潜在的セキュリティ問題を特定しました。
具体的な分析観点は以下の3点です。
特に大きな実効性を示したのが、リモートログインに世界中で利用されている「OpenSSH」に対する成果です。OpenSSH 10.4では、耐量子計算機暗号の署名方式「ML-DSA-44」の実験的コード約4,500行が、初期設定で無効かつ除外指定されている場合でも認証前のクライアントから到達可能な状態でした。これは初期設定時に認証前で動作するコードの約16%に相当します。Anthropicの修正案提供と開発者コミュニティとの連携により、バージョン10.6において認証前クライアントが到達可能なコードの約5分の1が恒久的に削減されました。
一次報告および国内報道(ITmedia NEWSならびにマイナビニュースTECH+)の内容を比較すると、以下の実務的進展が確認できます。
| 項目 | 発表・報道で確認された事実 |
|---|---|
| 分析対象規模 | 25の主要OSSプロジェクト(計500万行超のコードベース) |
| 設定項目の精査 | 抽出した1万7,000項目のうち3,842項目がセキュリティ関連 |
| 設定矛盾の事例 | 警告なしに成立しセキュリティを無効化する設定が94件(21年間放置された例も存在) |
| ツールへの展開 | 再利用可能なスキルとして脆弱性検出サービス「OSS Scanner」に統合予定 |
Anthropicは今回確立した手法を体系化し、オープンソース向けの自動検査基盤「OSS Scanner」に組み込む計画です。初期設定に関する安全な変更はテスト実行で動作整合性を確認しつつ、挙動変更を伴う修正は人間の開発者に委ねる安全設計が採用されています。
日本国内のエンタープライズやクラウドインフラにおいても、OpenSSHや各種OSSは基幹システムの中核として稼働しています。認証前コードの縮小は、ゼロデイ脆弱性に対する防壁として直接的な恩恵をもたらします。
編集部注: 生成AIによるセキュリティ支援はこれまで「ソースコード内の脆弱性スキャン」が主流でした。しかし今回の研究は、コードの欠陥を探すのではなく「そもそも外部から叩ける窓口を閉じる」というシステム設計レベルの安全化をAIが担えることを示しました。世界で最も厳密に監査されているOpenSSHですら認証前の不要経路が残存していた事実は、あらゆる企業の内製システムにも同様の潜在リスクがあることを示唆しています。