AI関連の最新ニュースをピックアップ
米OpenAIが、競合であるAnthropicが11月中旬に予定する新規株式公開(IPO)に先立ち、約300億ドル(約4兆5,000億円)規模の大型資金調達ラウンドを急ピッチで進めていることがロイターの独占報道で明らかになった。評価額は1.4兆ドル(約210兆円)超に達する見通しであり、ハイテク株のボラティリティやAIバリュエーションへの警戒感が高まる中、重複する投資家層からの資金コミットメントをいち早く囲い込む狙いがある。
関係者2名が明らかにしたところによると、OpenAIはソフトバンクグループ(SoftBank Group)やアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ拠点のMGXなどの既存支援者と出資交渉を進めている。同社は先週、長期投資ファンドや政府系ファンド(SWF)との面談を実施した。これはAnthropicが開催したインベスターデイと重なる日程だったとされる。
OpenAIは新たなフロンティアモデル「GPT-6 Astra(OpenAIが投入した新世代フロンティアモデル)」の投入後に収益成長が加速した点を投資家へ強調している。年換算売上高(ARR)は500億ドルに到達し、2026年末までに700億ドルへ拡大する見通しを示した。さらに低価格モデルの値下げが利用拡大を後押ししたとし、モデル価格のさらなる引き下げ余力も提示している。OpenAIの評価額は、2026年3月の資金調達(米Amazonによる最大500億ドルのコミットメントを含む総額1,220億ドル調達)時点で8,520億ドルと評価されていた。
OpenAIが調達を急ぐ背景には、AnthropicのIPOに伴う詳細な財務開示(S-1提出書類など)が行われる前に、自社のバリュエーションを確定させたい思惑がある。Anthropicの年換算売上高は7月時点で約650億ドルに達し、2026年第3四半期の売上高は第2四半期の116億ドルから168億ドルへ急伸したものの、月次成長率の鈍化が一部投資家から指摘されている。
さらに両社は売上の会計処理を巡っても対立している。OpenAIはパートナー配分を事前に差し引いた「純額(ネット)ベース」で売上を計上しているのに対し、Anthropicがクラウドプロバイダー経由の契約総額(グロス)を計上することで売上を過大に見せていると批判。Anthropic側は確立された会計基準に従っていると反論している。今回の先行調達には、財務責任者(CFO)のSarah Friar氏が投資家から競合比較の追及を受ける前に、独自の評価額を固めたい意向が透けて見える。
| 項目 | OpenAI(報道・交渉ベース) | Anthropic(報道・開示ベース) |
|---|---|---|
| 予定調達・上場形態 | 未公開株ラウンド(約300億ドル) | 2026年11月中旬のIPO(米市場上場) |
| 目標評価額 | 1.4兆ドル超 | 1.5兆ドル前後(当初2兆ドル目標から修正議論) |
| 直近の売上規模 | ARR 500億ドル到達(年末700億ドル予想) | ARR 約650億ドル(7月時点)、Q3売上168億ドル |
| 直近の主な出資者・提携 | SoftBank、MGX、Amazon等 | Amazon、Google等 |
今回の資金調達加速の背景には、急速に冷え込みつつある資本市場の現実がある。AIデータセンターの巨額設備投資を支える負債への懸念が高まっており、特にクラウドプロバイダーのCoreWeaveが約500億ドルの借入精査を受けて株価・債券を急落させたことは、機関投資家の慎重姿勢に拍車をかけた。市場の不透明感から、豪AirTrunk REITやSB Energy、原子力サービス企業のHoltecなど、今秋の上場を見送り・延期する企業が相次いでいる。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も2週間足らずで1.6兆ドルの時価総額を失った。
OpenAI自身も膨大な計算インフラのコミットメントを抱えており、仮に計画している2027年のIPO市場が一段と悪化した場合に備え、手元流動性を厚くしておく必要がある。AI業界の二大巨頭による資本獲得競争は、単なる企業評価の競い合いを超え、先行き不透明なマクロ環境における生き残りインフラ資金の争奪戦の様相を呈している。
引用元:CTVNews