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米民間学術支援団体のSimons Foundationは2026年10月15日、AnthropicおよびOpenAIと連携し、急速に発展する人工知能(AI)を数学研究に安全かつ効果的に取り入れるための1,500万ドル(約22億円規模)の共同支援イニシアチブを発足したと発表した。AIによる推論や証明の検証、学術コミュニティ主導の評価基準策定を包括的に後押しする。
本イニシアチブはSimons Foundationが主導・資金管理を行い、研究者からの公募(オープンコール)を通じてワークショップや共同プロジェクトへ助成金を交付する。AnthropicとOpenAIの2社は資金拠出に加え、自社の最先端AIモデルや高度な計算資源(コンピューティングリソース)をSimons Foundationの支援研究者に提供する。数学にとどまらず基礎科学全般への応用も視野に入れている。
Simons FoundationのDavid Spergel会長は「AIツールがどのように評価され、採用され、使われるかの議論は、特定の1企業や単独の機関ではなく、数学コミュニティ自身が主導すべきだ」と強調。AIによる証明を単なる定理の集積ではなく、人間の好奇心を深める集団的理解へと導く枠組み作りを目指すとしている。同財団はかねてより、AI支援による数学証明を可能にした形式証明言語「Lean」の開発支援など、科学向け機械学習の振興に長年携わってきた。
OpenAIも同日、公式ブログを更新し、本イニシアチブへ500万ドルを直接拠出することを明らかにした。さらに同社は、内部フロンティアモデルを用いて導出した未解決問題に関する新たな数学的成果を公表した。
成果の透明性を確保するため、OpenAIはプリンストン高等研究所(IAS)の「数学と人工知能に関する諮問グループ(AGMAI)」の提言に準拠し、成果論文をGitHub上で公開。あわせて、多くの証明をコンピュータで機械検証可能な形式証明言語「Lean(定理証明や数学の形式検証を行うプログラミング言語)」で形式化したコードもリポジトリで提供している。推論統計によると、1つの成果を導くにあたりChatGPT Proの思考時間換算で平均約3時間相当の計算量を消費したという。
本発表における各者の役割と公開情報の差分を整理すると以下の通りとなる。
| 主体 | 主な役割・拠出内容 | 具体的な取り組み |
|---|---|---|
| Simons Foundation | 全体統括・公募審査・助成管理 | ワークショップ開催支援、コミュニティ標準の策定、基礎科学への展開 |
| Anthropic | 共同資金拠出・AIリソース提供 | 最先端モデルへのアクセス提供、計算基盤の提供 |
| OpenAI | 500万ドル拠出・AIリソース提供 | フロンティアモデルの数学的成果公開、Lean形式化証明のGitHub開示 |
日本の数学者や理論科学の研究者にとっても、AIによる自動証明や仮説生成の波が押し寄せる中、世界的助成制度や公式計算資源へのアクセスルートが開かれる意義は大きい。特にLeanによる形式化検証は日本国内の学術コミュニティでも注目が高まっており、国際的な評価基準の形成に参加する契機となる。
AIが複雑な数学定理の証明補助に乗り出す中、最も重大な課題は「AIが出力した論理展開の信頼性」と「研究規範の維持」にある。特定の大手AIベンダーがブラックボックスのまま独走するのではなく、定評ある基礎科学財団と学術諮問機関が介在してオープンな公募・検証基盤を整えるアプローチは、科学分野における責任あるAI活用の模範例として今後の展開が期待される。
引用元:OpenAI | Simons Foundation