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英AIクラウド企業のNscale(英国ロンドンを拠点に垂直統合型のAIクラウドや次世代データセンターを展開するインフラ企業)は、総額33.6億ドルのPre-IPO(株式公開前)転換社債による資金調達を発表した。Third Pointが主導する投資シンジケートから初回実行分として23.6億ドルを確保し、さらに米NVIDIA(AI計算向けGPUおよびアクセラレーテッドコンピューティングの世界的リーダー企業)から10億ドルの追加出資コミットメントを取り付けた。調達資金は米テキサス州やノースカロライナ州などで進める次世代AIデータセンターの建設と、NVIDIA製最新GPUインフラの大規模導入に充当される。
Nscaleが発行した転換社債(Convertible loan notes)は、同社が計画中の新規株式公開(IPO)完了時に自動的に普通株式へ転換される仕組みとなっている。NVIDIAの出資枠(10億ドル、2026年11月中旬の実行を予定)については、転換時に議決権のない株式(non-voting shares)へ転換される取り決めとなっている。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs & Co. LLC)がプレースメントエージェントを務めた。
Third PointとNVIDIAに加え、Apolloが運用するファンド、Citadel、Hudson Bay Capital、アブダビ投資評議会(Abu Dhabi Investment Council)、8090 Industries、Wellington Managementなどの有力機関投資家がシンジケートに参加した。Nscaleの創業者兼CEOであるJosh Payne氏は「フルスタックAIインフラの拡張における重要な節目であり、世界的なデータセンター展開を加速させる」と述べている。
Nscaleはハイパースケーラー、フロンティアモデル研究機関、AIネイティブ企業向けに垂直統合型AIクラウドを提供しており、契約総額は1,030億ドルを超えると公表している。今回の調達資金は、2026年8月末に締結された約30億ドルのタームローン融資枠とともに、テキサス州ワード郡(Ward County)およびノースカロライナ州マディソン(Madison)のキャンパス整備に活用される。
ワード郡施設(最大18.5億ドル投入、約200メガワットのIT負荷容量)には、NVIDIAの次世代アーキテクチャである「GB300(Blackwell Ultra)」および「VR200(Vera Rubin)」システムを配備し、閉ループ直接液冷(DLC)とリアドア熱交換器を組み合わせた高密度冷却を導入する。マディソン施設(最大12億ドル投入、最大40メガワット容量)でも96エーカーの敷地でサイト改修とGPUインフラ網の拡張が進められる。
Nscaleは2026年9月18日付で、米証券取引委員会(SEC)に対し普通株式の新規株式公開(IPO)に向けた登録届出書(Form S-1)を提出し、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を申請している。本調達と上場計画における確認済み事項と未確認事項を整理する。
| 項目 | 確認済みの事実 | 未確定・今後の確認事項 |
|---|---|---|
| 資金調達総額 | 33.6億ドル(初回23.6億ドル+NVIDIA枠10億ドル) | NVIDIA枠(10億ドル)の実行予定(2026年11月中旬) |
| 株式転換条件 | IPO完了時に普通株式へ自動転換(NVIDIA分は無議決権株) | 転換時の評価額および転換比率の確定条件 |
| 主要ハードウェア | NVIDIA GB300(Blackwell Ultra)/ VR200(Vera Rubin) | 具体的導入ラック数・クラスタ構成の段階的納期 |
| データセンター容量 | ワード郡(約200MW)+マディソン(最大40MW) | 全面稼働時期および電力調達契約の詳細 |
| 上場申請状況 | SECへForm S-1提出済み、NYSE上場申請 | 発行株式数・公開価格帯・SECによる効力発生時期 |
生成AIモデルの大規模化に伴い、AIインフラ市場では数百メガワット規模の電力と先進的な液冷システムを前提とした専用データセンターの確保が最重要課題となっている。Nscaleの今回の調達は、上場前に大型の転換社債とプロジェクト融資(計63億ドル超)を組み合わせてGPUを先行確保する「ネオクラウド(NeoCloud)」モデルの典型例といえる。
NVIDIAにとっても、自社GPUの安定供給先を確保すると同時にクラウドエコシステムの分散化を図る戦略的投資とみられる。ただし、SECへのForm S-1が効力発生前であることや、2026年11月のNVIDIA出資実行を含め、今後の上場審査の進捗と設備投資の回収スピードが継続的な注視点となる。
引用元:Unite.AI