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米Liquid AIは公式技術ブログにおいて、自社の30億パラメータ規模の視覚言語モデル(VLM(画像とテキストの両方を理解・処理する視覚言語モデル))「LFM2.5-VL-3B」向けの投機的デコーディングドラフトモデル「LFM2.5-VL-DSpark」をオープンソース公開しました。モデルサイズをわずか8.9%(約280Mパラメータ)増やすだけで、端末上でのトークン生成速度を最大3.13倍に引き上げます。

投機的デコーディング(軽量なドラフトモデルが先読みで複数トークンを予測し、本体モデルが一括検証して推論を高速化する手法)(Speculative Decoding)は、軽量なドラフトモデルが先行して候補トークン列を推測し、本体モデルがそれを並列検証することで推論スループットを高める技術です。本体モデルがすべてのトークンを検証するため、出力されるテキストの品質や内容は本体モデル単体で推論した場合と完全に同一(Exact)に保たれます。
LFM2.5-VL-DSparkでは、画像パッチとテキストトークンが共通の表現空間に射影された後の中間層の隠れ状態(Hidden States)をドラフトモデルが取り込み、次のトークン候補ブロック(推奨ブロックサイズ: 8〜9)を予測します。ドラフトモデル自体の構造は4層のアテンション機構に簡素化されており、オーバーヘッドを最小限に抑えています。
| 構成コンポーネント | パラメータ数 |
|---|---|
| デコーダースタック(4層) | 193.0M |
| 隠れ状態プロジェクション | 21.0M |
| マルコフヘッド | 65.5M |
| 正規化層・信頼度ヘッド | 6.4k |
| 合計 | 279.5M(本体の約8.9%) |
MMSpecベンチマーク(画像質問応答、チャート解析、推論タスク等)における評価結果では、端末およびデータセンターGPU環境の双方で大幅な性能向上が確認されました。
llama.cpp、Apple Silicon向けMLX-VLM、高スループットサービング基盤SGLangの3環境に対応したビルドおよびPRが提供されています。Liquid AIは本発表において、投機的デコーディングが視覚タスクに及ぼす限界についても率直に整理しています。
編集部注: これまでオンデバイスAIモデルの実装では、モデル全体の量子化(4bit化など)によるメモリ削減と速度向上が一般的でした。しかし量子化は極端に進めると視覚理解の精度低下を招きます。
Liquid AIが示した「280Mの超軽量ドラフトモデルを外付けして数学的に等価な出力を保ったまま3倍高速化する」アプローチは、スマートフォンやエッジPCにおけるローカルマルチモーダルAIの実用性を大きく引き上げる現実的な解として、業界全体のドラフトモデル採用を加速させるとみられます。
引用元:Hugging Face