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ソフトバンクグループが、現代自動車グループ(Hyundai Motor Group)傘下の米ロボティクス・AI研究機関「Robotics and AI Institute(RAI)」を買収することで合意した。本買収取引は現在、米国の安全保障上の影響を審査するCFIUS(対米外国投資委員会。米国の安全保障に影響を与える外資の投資や買収を審査する政府機関)(対米外国投資委員会)の審査下にあり、買収金額などの詳細な財務条件は非公表となっている。ソフトバンクにとっては、かつて深く関わった研究体制への再参入となる。
RAIは2022年、現代自動車による米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収に伴い、マサチューセッツ州ケンブリッジに設立された研究機関である。 創設者は、1992年にボストン・ダイナミクスを立ち上げ、四足歩行ロボット「Spot」や人型ロボット「Atlas」の開発を率いたロボット界のパイオニア、マーク・レイバート(Marc Raibert)氏が務める。 現代自動車は設立当初に4億ドル(約600億円)以上の初期資金を投じたが、その初期資金拠出期間が終了していた。RAIの研究領域は、ロボットの運動制御、外界認識、物体を器用に扱うマニピュレーション(ロボットの手先やアームを用いて物体を器用に把持・操作する技術)、自律ナビゲーション、そして基礎AIなど、レイバート氏が一貫して追求してきた基礎研究全般に及ぶ。
今回の買収合意は、ソフトバンクと現代自動車の双方におけるロボティクス戦略の再編を色濃く反映している。両社の動きと狙いの相違は下表のとおりである。
| 項目 | ソフトバンクグループ | 現代自動車グループ |
|---|---|---|
| 今回の取引 | RAIの買収(基礎研究・AI頭脳の獲得) | RAIの売却(初期投資期間の終了に伴う整理) |
| ボストン・ダイナミクスとの関係 | 残る9.65%の保有株を現代自動車へ売却推進中 | 残余株を取得し完全な支配権掌握へ |
| ハードウェア基盤 | スイスABBのロボット事業買収計画(53億ドル) | 自動車製造工場や物流現場への実機導入・実用化 |
| 目指す方向性 | 産業ハードウェア規模と最先端AI研究の統合 | モビリティおよび商用ロボットの実用実装に特化 |
ソフトバンクは、スイスの産業機器大手ABBのロボティクス事業を53億ドルで買収する計画を進めている。長年の産業自動化実績と大規模な顧客導入基盤を持つABBのハードウェアに、RAIの持つ高度なAI制御・知覚技術を組み合わせることで、単なる単発投資にとどまらない包括的なフィジカルAI(物理世界を認識・理解しロボットなどの実体を制御するAI)ポートフォリオの確立を狙っているとみられる。
本取引の先行きはCFIUSによる審査の行方に左右される。現時点で審査完了の具体的なタイムラインは明らかになっておらず、取引完了後にレイバート氏がどのような役割を担うかも未定である。両社およびRAIは「現時点で共有できる情報はない」として公式コメントを控えている。
審査が承認されれば、ソフトバンクはかつて保有していたボストン・ダイナミクスの製品群から離れ、研究開発・AI基盤という新たなアプローチでレイバート氏の技術的遺産をポートフォリオに組み込むことになる。産業ロボットのインフラと最先端AIの融合が具現化するか、今後の動向が注目される。
引用元:M4SNews