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米NVIDIA(GPUおよびAI向けアクセラレータ・インフラを手がける最大手企業)は2026年9月19日、AIデータセンターにおける電力供給の制約を緩和し、固定された電力枠内で計算スループットを最大化するソフトウェアおよびインフラ管理基盤「DSX(NVIDIAのデータセンター電力管理・運用インフラソフトウェア基盤)」の初期導入成果を公開しました。クラウド事業者Lambdaでの実証において、GPUクラスタのトークン処理性能を24%向上させつつ、電力効率(ワットあたり性能)を23%改善したことが確認されました。
大規模なAIファクトリー(データセンター)において、チップの処理性能以上に深刻なボトルネックとなっているのが「電力系統(グリッド)からの受電容量の制限」です。NVIDIAはこの課題に対し、電力管理を多層的に最適化する2つのアプローチを提示しました。
この結果、クラスタ全体のトークンスループットは毎秒約400万トークンから500万トークンへと24%増加し、性能/電力比も23%改善しました。
IT Brief Asiaの報道に基づき、DSXプラットフォームを構成する主要コンポーネントと実証成果を整理します。
| コンポーネント | 役割と提供機能 | 実証成果・期待される効果 |
|---|---|---|
| DSX MaxLPS | GPUおよびラック単位の電力使用監視と余剰電力の動的再配分 | LambdaのHGX B200クラスタでスループット24%向上、電力効率23%改善 |
| DSX Flex | 地域電力網からの負荷抑制要請(デマンドレスポンス)に応じた負荷制御 | SVP管内で4MWから3MWへ1分未満で削減、200回以上の自動制御実績 |
| DSX OS | データセンター設備とIT機器の統合ライフサイクル管理 | 施設運用の自動化、冷却・給電状況の集中管理 |
| DSX Sim | 施設着工前のデジタルツインモデリング | 最適な受配電設計・熱流体シミュレーションによる設計効率化 |
| 800V DCリファレンス | 800ボルト直流給電アーキテクチャの採用 | 低電圧交流配電と比較して電力変換ロスを削減し、3〜5%の効率向上 |
NVIDIAの試算では、将来の「Vera Rubin NVL72」プラットフォームにおいて、DSX MaxLPSの適用により同一メガワット枠内で最大40%のGPU容量拡張が可能になると見込まれています。ただし、これらはラック単位の動的電力制御に対応した最新の受配電盤やセンサーインフラが整っている環境を前提としており、既存の従来型データセンターへの後付け(レトロフィット)で同等の効果が得られるかは検証途上です。
編集部注: NVIDIAのジェンスン・フアン(Jensen Huang)CEOが「1ギガワットの工場を2ギガワットに増やすことはできない」と語ったように、AI競争の主戦場はチップ単体のFLOPs競争から「メガワットあたりのトークン生産効率」へと完全にシフトしています。日本国内でもAIデータセンター新設に伴う電力不足や特別高圧受電の契約逼迫が顕在化しており、既存の契約電力枠を維持したままスループットを2割以上引き上げられるDSXのようなソフトウェアアプローチは、国内クラウド事業者やインフラ投資家にとって極めて魅力的なソリューションになるとみられます。
引用元:IT Brief Asia