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AI推論特化型半導体を手がける米d-Matrixは、同社の次世代推論プロセッサ「Raptor XPU」において、米NVIDIAの高速インターコネクト技術NVLink Fusion(NVIDIAスタックとサードパーティ製プロセッサを接続する高帯域・低遅延技術)を採用することを発表した。NVIDIAのモジュラー式サーバー設計「NVIDIA MGX」や液冷インフラ基盤を活用することで、カスタム半導体の設計から大規模データセンターへの実展開に至る期間とコスト、リスクを大幅に圧縮する。
AIワークロードにおいてカスタムプロセッサ(XPU)を開発しても、それを「AIファクトリー」規模で実運用するには、高速ネットワーク、専用ラック設計、電力供給、液冷システム、検証済みサプライチェーンなど、システム全体のインフラ構築が不可欠となる。
d-MatrixはNVLink Fusionを採用することで、NVIDIAが検証済みのエコシステムを直接活用できる。
d-Matrixの共同創業者兼CEOであるSid Sheth氏は、記者会見で「推論需要が急増する一方で、資本、時間、電力は有限である。NVLink FusionとMGXにより、当社のRaptor XPUを広く普及している液冷アーキテクチャに迅速に統合できる」と述べ、自前でのインフラ開発に伴うリスク回避の重要性を強調した。
カスタムAIアクセラレーター企業にとって、データセンター規模での展開手法には大きな差異が存在する。
| 項目 | 自前インフラ開発 | NVLink Fusion + MGX採用 |
|---|---|---|
| ラック設計・検証 | 独自仕様の設計と熱・電力の個別検証が必要 | 検証済みMGXモジュラー設計をそのまま利用 |
| 冷却方式 | 独自の液冷・空冷システムの開発負担 | 既存の液冷インフラ・サプライチェーンに適合 |
| 異種計算資源との連携 | 汎用ネットワーク(PCIe/汎用Ethernet)による制約 | NVLinkによるGPU・CPUとの超低遅延・高帯域連携 |
| 市場投入までの期間 | 数年単位のインフラ検証期間が追加 | チップ完成からラック展開までの時間を大幅短縮 |
NVIDIAが推し進める「垂直統合かつ水平開放」のエコシステム戦略が、半導体業界の勢力図を着実に塗り替えつつある。推論特化型チップを開発する新興ベンダーは本来NVIDIA GPUの競合と見なされがちだが、NVLink FusionとMGXを開放することで、NVIDIAは他社製プロセッサすらも自社のネットワークとラック基盤(AIファクトリープラットフォーム)に取り込むことに成功している。
データセンター事業者にとっても、プロセッサごとにラック構造や冷却系を個別設計することなく、共通化されたMGXインフラ上でGPU、CPU、各種XPUを用途に応じて柔軟に混載できるメリットは大きい。ハードウェア基盤の囲い込みをネットワークとラック層で成立させるNVIDIAのプラットフォーム支配力は、今回の協業によって一段と強固なものとなった。
引用元:NVIDIA Blog