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Microsoft(WindowsやOffice製品、Azureを提供するIT大手)が、表計算ソフト「Excel」やメールソフト「Outlook」などの主要アプリケーション内で行われる一部のAI処理について、OpenAI(ChatGPTなどを提供するAI開発企業)やAnthropic(Claudeシリーズを開発するAIスタートアップ)といった外部の高性能モデルから、自社開発の独自AIモデル「MAI」群へと切り替えを進めていることが、Bloombergなどの報道によって明らかになりました。その背景には、世界中のユーザーが利用することで急増し続ける「AIトークン(AIが処理するデータ量の単位)コスト」を抑制するという、財務上の強い目的が存在します。
関係者の証言によると、現在ExcelやOutlookのアプリ内において、毎週数万件のプロンプト処理がMicrosoftの独自モデルであるMAIによって処理されています。
Microsoftは2026年6月に、同社初の自社製推論モデル「MAI-Thinking-1」(350億パラメータ、256Kコンテキストウィンドウを備え、プログラム記述力において「Claude Opus 4.6」に匹敵する性能を持つとされる)を含む7つのモデルを発表していました。開発当時からトークンコストを低く抑えることを目標に掲げており、今回の実サービスへの本格導入は、その成果を自社インフラに適用した形となります。
同社のAI部門CEOであるムスタファ・スレイマン(Mustafa Suleyman)氏は以前、「当社でも非常に多くの従業員がAIトークンの消費に数百万ドルを費やしている。Anthropicへの支払いコストを削減し、最終的にはゼロにすることを目指している」と言及していました。
Microsoftが外部依存の削減を急ぐ最大の要因は、フロンティアモデルと呼ばれる最高峰モデルのAPI利用料金の高さにあります。
各社の主要モデルのAPI利用料(100万トークンあたり、2026年7月時点)を比較すると、その価格差は歴然です。
OpenAIのモデルはAnthropicより安価であり、Microsoftは同社との戦略的提携によって割引の恩恵を受けているものの、この連携契約は2032年に満了を迎える予定です。契約終了を見据え、タイムリミットが来る前に自社製AIへ軸足を移すことで、中長期的なコストコントロールを完全に自社の手に握る狙いがあります。
編集部注:中国のDeepSeekが極めて低価格なモデルを提供したことで始まったAIの価格破壊は、大手テック企業の間でも大きな潮流となっています。いくら高性能であっても、高額なAPIコストがかかる外部モデルを主力ソフトウェアに無制限に組み込み続ければ、企業は赤字を垂れ流すことになります。Microsoftの今回の決定は、AIのビジネス利用が「とにかく賢いモデルを使う」段階から「十分な性能を持ち、かつ安価な内製モデルでやりくりする」実利的なフェーズへ移行したことを象徴する出来事です。
出典元:ギズモード・ジャパン、Bloombergの報道など。