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Hachette Book Group、Cengage、Elsevierの出版大手3社とベストセラー作家Scott Turowが、Googleに対しクラスアクション(被害者全体を代表して一部の原告が提起する集団訴訟の形式)を提起した。GoogleがGemini(Googleが開発する大規模言語モデル群)の訓練に数百万点の著作物を無断コピーしたとする訴えで、著作権者と生成AI企業の対立がさらに先鋭化している。
7月10日、原告らは米国ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に訴状を提出した。Hachette Book Groupの公式プレスリリースによれば、原告は著作者・出版社のクラス全体を代表して訴訟を提起している。対象となる著作物は小説・ノンフィクション・児童書・詩集から教科書・学術論文まで幅広い。
訴状は、GoogleがGoogle Books(Googleが提供する書籍検索・閲覧サービス。出版社との契約に基づき限定的な利用が許諾されている)やGoogle Play Booksを通じて限定的な利用目的で提供された書籍データを、許諾範囲を超えてAI訓練に転用したと主張している。さらに、ウェブスクレイピングにより海賊版サイトやペイウォール内のコンテンツも含めインターネット全体から無断で取得したと指摘する。訴状によれば、Googleは取得した著作物から著作権管理情報(著作物の権利者や利用条件を示すメタデータ。米国著作権法1202条で除去が禁止されている)(CMI)を除去し、訓練データの出典を隠蔽したとされる。
訴訟の焦点の一つは、Googleが自社の行為に伴うリスクを社内で認識していたとされる点にある。プレスリリースが引用する訴状によれば、Google社内ではGoogle Play Booksの「出版社提供の著作権付き書籍」をAIに使用することが「Googleにとって極めて問題がある」と指摘され、「100億〜1,000億ドル規模の制裁金リスク」が警告されていた。
また、書籍出版社がAI訓練を著作権侵害と見なし、Google Play Booksからコンテンツを引き揚げるか訴訟を起こす可能性があるという具体的なリスクも社内分析で示されていた。フェアユース(米国著作権法107条に定める公正利用の抗弁。利用の目的、著作物の性質、使用量、市場への影響の4要素で判断される)の抗弁が困難になるリスクも内部文書で認識されていたという。
CNETの報道によれば、GoogleおよびGoogleの原告側弁護士双方ともコメント要請に即座には応じていない。
原告のHachette・Cengage・Elsevierは、2026年5月にもMcGraw-HillおよびMacmillanとともにMetaに対し同様の著作権侵害訴訟を提起しており、今回の訴訟はその延長線上にある。プレスリリースによれば、原告は当初、進行中の「In re Google Generative AI Copyright Litigation」に介入する形で請求する予定だったが、同訴訟のクラス範囲外となる請求を保全するため独立した提訴に踏み切った。
過去の生成AI著作権訴訟では、AnthropicおよびMetaに対する訴訟でAI企業側に有利な判断が出た例があるものの、両裁判所とも将来の案件で異なる結論になる可能性を明示的に留保していたとCNETは報じている。
今回の訴訟が注目される理由は、原告が訴状にGoogle社内のリスク認識を示す内部文書を引用している点にある。フェアユースの判断においては「利用の目的と性質」が主要な考慮要素の一つであり、被告側がリスクを認識しつつ利用を続けていたという事情は、故意侵害の認定や損害賠償額に影響を及ぼす可能性がある。出版業界が大手AI企業に対し組織的に訴訟を展開する構図が明確になった今、GoogleがMetaの先例と異なる法的対応を迫られるかが焦点となる。

引用元:CNET