AI関連の最新ニュースをピックアップ
Metaはルイジアナ州リッチランド郡で建設中のAIデータセンターの演算容量(データセンターが消費できる電力の総量で、処理能力の規模を示す指標)を5GWへ拡張すると発表した。同社のデータセンター群で最大規模となり、投資総額は500億ドル(約8兆円)を超える。AIインフラの急拡大を進める同社の戦略を象徴する計画で、地域経済・電力供給・教育にまたがる包括的な投資が特徴となっている。
同データセンターには、Metaが保有する最大のマルチギガワットAIトレーニングクラスター(数GW規模の電力を使い、大規模言語モデルなどの学習を行う計算基盤)である「Hyperion」が収容される。Meta公式発表によると、主要な数値は以下のとおりである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 演算容量 | 5GW(Meta全データセンターで最大) |
| 投資総額 | 500億ドル超(リッチランド郡地域) |
| 建設ピーク時の雇用 | 7,500人以上 |
| 稼働後の常用雇用 | 1,000人以上(エンジニア、サーバー技術者、セキュリティ専門家など) |
| 地元企業との契約額 | 16億ドル以上(ルイジアナ州企業) |
| 地元インフラ改善投資 | 10億ドル以上(道路・上下水道) |
建設にはDPR Construction、Turner Construction Company、Mortenson Constructionの3社がゼネコンとして参画している。
Metaは労働力開発として、地元のルイジアナ・デルタ・コミュニティ・カレッジ(LDCC)(ルイジアナ州北東部の公立短期大学)に同校史上最大となる500万ドルの支援金を寄付した。この資金により、リッチランド郡内の高校卒業生(2026年以降の全卒業生対象)にデータセンター関連の技術資格・コースのフル奨学金を提供する。
教育面での波及効果も確認されている。ルイジアナ大学モンロー校の建設管理学科への入学者数は前年比37%増加し、卒業生の多数がすでにゼネコン各社に採用されている。また、データセンター事業による税収増加の結果、リッチランド郡の教師への年間ボーナスは前年比400%に急増した。
さらにMetaは2022年からCenter on Rural Innovation(CORI)(米国の農村地域でテクノロジー活用の経済成長を支援する非営利団体)と提携しており、ブロードバンド普及やテクノロジー主導の経済成長を支援してきた。この提携をルイジアナ州北東部にも拡大する計画だ。
電力供給面では、Metaは地元電力大手Entergy Louisianaと包括的な合意を結んでいる。合意の内容は以下のとおりである。
この合意により、Entergy Louisianaの一般顧客に対して今後20年間で約20億ドルの電気料金削減が見込まれる。これは以前発表済みの6億5,000万ドルの削減に上乗せされるもので、合計で26億5,000万ドルの住民還元となる。加えてMetaはEntergyの低所得者向け電力支援プログラム「Power to Care」と住宅エネルギー効率化プログラムに2億1,500万ドルを拠出する。
施設は消費エネルギーの100%をクリーン・再生可能エネルギーでマッチングし、稼働後にLEED Gold認証を取得する予定だ。水資源面でも、Ducks UnlimitedおよびBonneville Environmental Foundationと提携し、ミシシッピ沖積谷の湿地回復プログラム「Flyaway Forest」を推進している。
公式発表では以下の点が明確にされていない。
Metaの5GW拡張は、ハイパースケーラーのAIインフラ投資が単なる計算能力の確保にとどまらず、地域経済・電力インフラ・教育を一体的に再構築する規模に達していることを示している。500億ドル超の投資額はMeta単体のデータセンター事業としても過去最大であり、同社が2026年7月10日に発表したカナダのデータセンター着工と合わせ、北米全域でのAI計算基盤の急速な拡大が進んでいる。
特にEntergyとの合意で住民の電気料金を削減する仕組みは、データセンター誘致が地元住民の生活コスト増につながるという批判への具体的な回答となっている。一方で、天然ガス発電所7基の新設はクリーンエネルギー目標との整合性について今後議論を呼ぶ可能性がある。Hyperionクラスターの仕様と運用開始時期が明らかになれば、Metaの自社AI基盤の全体戦略がより具体的に見えてくるだろう。