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Metaの研究チームは、コンピュータアーキテクチャの国際会議「ISCA 2026」にて、旧世代サーバーから回収したDDR4メモリを、新しいDDR5互換サーバーで再利用するための独自ASIC(特定用途向け集積回路)「Vistara(ヴィスタラ)」を発表しました。高速相互接続規格であるCXL(Compute Express Link)を活用し、旧メモリを拡張メモリとして接続することで、データセンターのメモリ容量不足を低コストで解消し、環境負荷も低減する本番運用システムとしての成果を報告しています。
データセンターにおけるサーバー本体の耐用年数は通常3〜5年であるのに対し、搭載されているDRAM(メモリ)の寿命は7〜10年と長く、サーバー更新時にまだ使えるメモリが大量に余るという課題がありました。しかし、DDR4とDDR5では物理仕様や接続方法が異なるため、新しいサーバーに直接挿すことはできません。Metaはこのギャップを埋めるため、PCIe 5.0経由でCXL 2.0/1.1規格を用いて旧DDR4メモリを接続する「Vistara」を自社開発しました。
CXLで接続したDDR4メモリは、CPUに直接つながる高速なDDR5メモリと比べてアクセス速度(レイテンシ)や帯域幅で劣ります。この性能低下を防ぐため、MetaはOSレベルでデータのアクセス頻度を監視し、よく使われるデータ(ホットページ)を高速なDDR5に、使用頻度の低いデータ(コールドページ)をCXL接続のDDR4に自動で振り分ける「メモリ・ティアリング(階層化)」を採用しています。実際の構成では、768GBのDDR5メモリに、Vistara経由のDDR4メモリ256GBを組み合わせ、合計1TBの「MemServer」として機能させています。
Vistaraは、同社の本番環境である推薦システムの機械学習(ML)推論や分散キャッシュなどで実際に稼働しています。この導入により、推薦システムのMLパラメータサーバーでは必要となる物理サーバーの数を最大25%削減することに成功しました。また、分散キャッシュシステム「CacheB」では、大容量化によりクエリの平均処理時間が29%短縮されたと報告されています。
MetaのVistaraは、CXLという新規格を単なる学術的プロトタイプに留めず、ハイパースケール(超大規模)データセンターで実用化した先駆的な例です。メモリ価格の上張や環境配慮(カーボンフットプリント削減)が求められる中、旧世代アセット(資産)の再利用を半導体レベルで統合するこのアプローチは、他のクラウド事業者にとってもインフラ投資効率を最大化する有力な選択肢となるでしょう。