AI関連の最新ニュースをピックアップ

Anthropicは日本時間7月10日、AIチャットサービス「Claude」の全ユーザーを対象に、5時間ごとおよび週単位で設けられているレート制限(利用可能量の制限)を一斉にリセットしたと発表しました。特別な申請や設定変更の必要はなく、サーバー側で自動的に適用されています。リセットの明確な理由は公表されていませんが、先行する高性能モデル「Fable 5」のプロモーション延長や、競合するOpenAIによる最新モデル「GPT-5.6」ファミリーの発表といった動きに対抗した「お披露目やご祝儀としての特例措置」と見られています。
今回のリセットの背景として、7月7日に発表されたFable 5のサブスクリプション内における無償利用枠(週次制限の最大50%まで追加料金なし)の提供期間が、当初の7月7日から7月12日(日本時間13日16時)まで延長されたことが挙げられます。レート制限に達してしまい期間延長の恩恵を受けられないユーザーの不満を和らげるため、制限の全リセットを行ったと見られます。なお、プロモーション終了後は、Fable 5の利用には別途クレジットの購入が必要な有償限定モードとなります。
同日、競合のOpenAIが最新モデル「GPT-5.6」シリーズおよび業務エージェント「ChatGPT Work」を発表しました。OpenAIもこれに合わせて、新機能の速やかな体験を促す目的でCodexおよびChatGPT Workの利用制限リセットを実施しており、Anthropic側がこれに真っ向からぶつける形でリセットを発表した構図となっています。
Fable 5は、当初セキュリティ懸念などから限定公開されていた最上位モデル「Mythos」を一般向けに調整し、6月9日に公開されました。しかし直後の6月12日、米国政府の輸出管理指令への対応を理由に突如世界中でサービスが緊急停止される事態となりました。その後、6月30日に規制がクリアされて7月1日に復旧し、現在に至るプロモーションが開始されるなど、波乱の展開を辿ってきました。
AI各社は、競合が新製品をローンチするタイミングなどで利用枠をリセットして自社サービスへの繋ぎ止めを図る手法を常套手段化しつつあります。今回の特例リセットはユーザーにとって歓迎すべき措置ですが、7月12日以降はFable 5の完全有償化が予定されており、今後は各社の高性能モデルの実質利用コストや機能面(OpenAIのChatGPT Work vs AnthropicのClaude Coworkなど)での本格化する囲い込み競争が激化すると見られます。