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アリババ(Alibaba)傘下のAIモデル「通義千問(Qwen)」は、中国の全国大学統一入試「高考(毎年6月に実施される中国の大学入試)」の終了に合わせ、出願校および専攻選択の全プロセスをサポートする「高考志望校選択Agent(特定のタスクを自律的に実行するAIプログラム)」を正式にリリースした。本機能は全国の受験生に対して永久無料で提供される。従来、高額な対面コンサルティングサービスが主流であった市場において、AIを活用した個別最適な提案を提供し、受験生間の情報格差の解消を目指す方針だ。
中国の高考における志望校選択や出願プロセス(志愿填報)は、情報の非対称性から多額の費用が発生する市場となっていた。1対1の対面支援サービスは4,000〜5,000元(約8.5万〜10.5万円)に達することもあり、利用できる家庭が限られていた。また、既存の支援サービスの多くはデータの更新頻度が低く、最新の募集計画や出願ルールに追従できず不合格を招くトラブルも発生していた。
通義千問の「高考志望校選択Agent」は、単なるモデルの微調整にとどまらず、プロの進路プランナーの意思決定論理を抽出してデータ基盤から再構築した。強化学習(AIが試行錯誤を通じて最適な行動ルールを自律的に学ぶ手法)や人間とAIの反復プロセスを導入し、計画・実行・反復の閉ループ推論(計画から実行、修正までをAI自身で完結させる能力)を実現している。
具体的には以下の3機能を提供する。
このAgentのデータ基盤には、アリババ傘下の検索・学習支援アプリ「夸克(Quark)」が8年間にわたり蓄積した、累計1.6億人のユーザーデータと全国2,900校以上の教育機関情報が活用されている。また、アリババは2026年3月にAI価値向上を主導する「ATH事業群」を設立し、6月にはCEO直轄の「Token Foundry事業部」を立ち上げて基礎モデル開発を強化しており、本製品は同社の「ATH戦略」の初の民生向け適用事例と位置づけられる。
通義千問の高考志望校選択Agentは、教育という重要なライフイベントにおける情報格差と高額な有料サービスの現状に対して、無料のAI支援というアプローチで市場の変革を試みるものだ。 この取り組みは、単発の有料サービスに代わってユーザーとの長期的な信頼関係を構築し、将来的なキャリアプランニング等への教育エコシステムへのユーザー移行を促す狙いがあると見られる。また、利用者からのフィードバックデータがアリババ全体のAIエコシステムやモデル性能のさらなる向上につながるデータ循環を生み出す効果も期待される。