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Google DeepMindは、教育支援AI「Guided Learning in Gemini」の学習効果を検証するため、シエラレオネ共和国のポートロコ地区にある12校のジュニアセカンダリースクール(中等学校)で、合計1,763人の生徒を対象に8週間の無作為化比較試験(RCT、対象者をランダムに分けて効果を比較する検証手法)を実施しました。非営利組織Fab AIや同国教育省と連携して進められた本実験の結果、AIを導入したクラスでは数学のテストスコアが大幅に改善し、教育用AIが強力な学習パートナーになり得ることが実証されました。
実験の結果、Guided Learningを体験した生徒は、AIを使用しなかった対照群と比較して、数学のスコアが+0.258標準偏差(SD、データの散らばり度合いを示す指標)向上しました。これは、通常の学校生活における1.2〜1.7年分の学習進捗に匹敵する顕著な伸びです。さらに、教員が授業時間の約半分にGeminiを適切に組み込み、目標利用時間の計12時間に達したクラスでは、1.8〜2.5年分の進捗に相当する極めて高い効果が確認されました。また、自主的な学習テクノロジーの平均利用率(5%以下)を遥かに超える、69%の生徒が利用目標を達成しており、生徒の学習意欲の向上も示されました。
本システムは、AI教育に関する長年の研究開発プロジェクト「LearnLM」に基づいて設計されており、安易に答え(ソリューション)を教えずに自発的な思考を促すことを最優先しています。約11万3,000件の対話ログを分析したところ、生徒の質問の91.4%が「概念理解」のために使われており、Geminiはメッセージの76%でヒントとなる問いかけを行い、直接答えを教えた割合はわずか2%に留まりました。この「ソクラテス式(問いかけにより自発的な気づきを促す対話手法)」の対話により、生徒が論理的に考える力を身に付け、期間後半には答えを求めるだけの質問が減少してスキル習得を求める質問が90%まで上昇しました。
実験では教員が授業設計やファシリテーション(活動の円滑な進行をサポートすること)の中心を担い、AIは教員を支援するパートナーとして機能しました。教員からは、授業準備の効率化や、一方通行の講義から個別の学習サポートへシフトしやすくなったという好意的な評価が寄せられました。一方で、今回の実証実験では、元々数学の基礎学力が高かった生徒ほどAIによる恩恵を多く受けたことも判明しており、今後は学習に最も遅れを取っている生徒層に効果的なアプローチとツールの調整が課題として挙げられています。
Google DeepMindによるシエラレオネでの実験は、適切にチューニングされた生成AIが、単なる「答えの検索エンジン」ではなく「理解を促す家庭教師」としてグローバルに効果を発揮することを示す強固な証拠となりました。AIと教育者が互いを補完し合うことで、世界の教育現場における学習の質の向上や、質の高い教育へのアクセス均等化への大きな一歩となることが期待されます。
編集部注:基礎学力の低い生徒へのサポートといった課題を克服し、どのように個別の学習障壁を取り除けるかが今後の実用化の鍵を握ると見られます。