AI関連の最新ニュースをピックアップ

Metaは、同社が展開するスマートグラス(身につけて使用する眼鏡型デバイス)の大部分において、搭載されているAI機能「Meta AI」を駆動するAIモデルを従来の「Llama 4」から最新の「Muse Spark(ミューズ・スパーク)」へ置き換えました。これにより、計算コストを大幅に削減しながらも、リアルタイムでの応答性能と推論能力が大きく向上しました。
「Muse Spark」は、MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏がAI業界全体から優秀な人材を巨額の資金で獲得して設立した新組織「Meta Superintelligence Labs(MSL)」が開発した初のAIモデルです。従来のLlamaシリーズがオープンソース(プログラムが一般に無償公開される開発形態)だったのに対し、本モデルは非公開のクローズドソースとして提供されています。これまでのLlamaシリーズがOpenAIなどの競合に遅れをとっていたことが、開発体制の再編とMSL設立の背景にあるとされています。
Muse Sparkは小型かつ高速に動作する設計でありながら、一部のベンチマーク(AIモデルの性能を測定する評価テスト)で高いスコアを記録しています。Metaの発表によると、従来の最高性能モデル「Llama 4 Maverick」と同等の性能を、10分の1の計算量で実現したとのことです。AIの評価指標である「Artificial Analysis Intelligence Index」において、Muse Sparkは52をマークし、Gemini 3.1 Proの57やGPT-5.5の60に迫る実力を示しています。この効率化により、スマートグラスのような素早い応答が求められるデバイスで、科学や数学といった複雑な問いへの即時回答が可能になりました。
今年5月、Ray-BanおよびOakleyブランドのスマートグラスのほぼ全てでモデルが移行されました。しかし、ウェブ画像を用いて視覚的な応答(画像ベースの回答処理)を行う「Meta Ray-Ban Display」のみは、最適化に時間を要するため引き続きカスタム版Llama 4が使用されています。スマートグラス市場では、GoogleのAI「Gemini」を搭載したWarby ParkerやGentle Monsterなどの競合製品の登場が控えており、今回の刷新にはこれらに対抗する狙いがあるとみられます。
今回のAIモデル刷新は、Metaがスマートグラス市場での優位性を維持する上で重要な一歩になるとみられます。これまでのLlama 4の性能制限から生じていたボトルネックが解消され、ユーザー体験が大きく改善される可能性があります。また、巨額の投資を行ったMSLが早くも成果を出したことは、Metaの今後のAI開発における強固な基盤を示すものです。一方で、Googleも「Gemini 3.5 Flash」を投入するなど競合環境は依然として激しく、Metaが今後さらに先進的なオンデバイスAI(端末上で直接処理を行うAI技術)を開発し、市場の主導権を握り続けられるかが注目されます。