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Microsoft(マイクロソフト)が管理するAzureなどのGitHub(ギットハブ、ソースコード共有サービス)リポジトリ73件が、自己複製型(人手を介さず自動で感染を広げる)のマルウェア「Miasma worm(ミアズマ・ワーム)」によるサプライチェーン攻撃(ソフトウェア供給網の隙を突く攻撃)を受けました。このマルウェアは、開発者が「Claude Code」や「Cursor」などのAIコーディングツール(AIを活用したプログラミング支援環境)を使ってリポジトリを開いた瞬間にペイロード(不正なプログラム本体)が実行され、開発者の認証情報(クラウドなどにアクセスするための鍵)を盗み出して他のリポジトリへと自動で感染を広げる特徴を持っています。
今回の攻撃は、過去に別のインシデントで侵害された認証情報を悪用してリポジトリに侵入したと見されています。脅威グループ「TeamPCP」が以前実行したパッケージ汚染インシデントと、同じ認証情報が使われた可能性がセキュリティ専門家から指摘されています。侵害されたのは azure-search-openai-demo などのオープンソースのAI関連プロジェクトを含む、計73件のリポジトリです。GitHub側は検知から105秒でこれらを無効化しましたが、下流のユーザーへの具体的な影響範囲はまだ完全には解明されていません。
本マルウェアの最大の特徴は、開発者がローカル環境にクローン(リポジトリの複製をダウンロードすること)したコードを、AIエージェントツールやVS Codeで読み込ませたり、npm test(JavaScriptのテストコマンド)を実行したりすることを契機として起動する点です。開発者がAIエージェントにプロジェクトの解析やデバッグを依頼するだけの通常の開発動作が、マルウェアの実行を引き起こすトリガーとなっていました。
感染が始まると、軽量で高速なBunランタイム(JavaScriptのプログラム実行環境)の仕組みを用いて、AWS、Azure、GCP、Kubernetesなどのクラウドアカウントや、パッケージ管理ソフトのnpm、GitHubといったサービスの機密トークン(アクセス認証キー)を収集します。核心的な認証情報を用いて、感染したユーザーが書き込み権限を持つ別のリポジトリに自らコードをプッシュし、レジストリを通さずにGitHub間で自律的に自己複製を繰り返していきます。
Miasma wormは、急速に普及するAIコーディング支援ツールを標的に据えた極めて新しいサプライチェーン攻撃の一種です。従来の「不審なファイルを実行しない」というセキュリティ対策だけでは、クローンしたコードをAIに分析させるだけで感染してしまうため、開発プロセスの初期段階での防御が必要となります。今後は、未検証のオープンソースコードをAIエージェントに読み込ませる前に、認証情報の隔離やコンテナなどのサンドボックス環境(安全にプログラムを実行できる隔離領域)で動かすといった、新たなセキュリティ運用の仕組みづくりが求められるようになると予想されます。