AI関連の最新ニュースをピックアップ
カリフォルニアのセキュリティ企業Calif(カリフ)の研究チームは、OpenAIのコーディング支援モデル「Codex(コーデックス)」を使用したAIエージェントにより、主要なWebサーバーに影響を与える新たなリモートDoS(サービスを停止させる攻撃)脆弱性「HTTP/2 Bomb」を発見しました。この脆弱性は、約10年前から知られている2つの攻撃手法をAIが組み合わせたもので、攻撃者は100Mbpsのインターネット回線と1台のPCから、標的サーバーを数秒で応答不能にできる危険性があります。
この脆弱性は、HTTP/2(Web通信の高速化プロトコル)のヘッダー圧縮技術である「HPACK(エイチパック)」のメモリ枯渇を狙う「HPACK Bomb」と、データの送受信制限を悪用する「HTTP/2 Low & Slow(低速・遅延送信)攻撃」を組み合わせて構築されました。
従来のHPACK Bomb対策は、デコード後のヘッダー総サイズを制限することで防御していました。しかし「HTTP/2 Bomb」では、ヘッダー自体を極小に保ちながら、サーバー内部のインデックステーブルに対する処理負荷(メタデータ処理のオーバーヘッド)を利用してメモリを枯渇させます。
さらに、ApacheやEnvoyなどのサーバーが持つヘッダー数制限に対しては、クッキー(Webサイトがブラウザに保存するデータ)を細かく分割して送信する「クッキークラム」の仕様を悪用して回避します。これにより、サーバープロセスを強制終了させることなく、物理メモリとストレージ間のスワップ処理(不足したメモリデータを一時的に外部保存する処理)を多発させ、システムをスラッシング状態(処理負荷が高まり動作不能になる状態)に陥れます。
研究チームのデモでは、わずか1台のクライアントからEnvoyやApacheのサーバーメモリ(32GB)を約10〜18秒で消費させ、NGINXやMicrosoft IIS(Windows Server 2025)も約45秒で応答不能にできることが実証されました。
現在、以下の対策状況が報告されています。
今回の脆弱性「HTTP/2 Bomb」は、人間が気づかなかった「10年前から存在する複数の脆弱性の組み合わせ」を、AIが自律的に発見したという点で、サイバーセキュリティのパラダイムシフトを象徴しています。数週間前にも、別のフロンティアAIモデルがOpenBSDの27年前の脆弱性を発見した事例があり、AIによる脆弱性検知の圧倒的な速度と規模が実証されつつあります。
(編集部注:AIを活用した攻撃手法の発見が容易になる中、サーバー管理者には迅速なセキュリティパッチの適用や、WAAP(WebアプリケーションおよびAPIを保護するセキュリティ機能)の導入など、防御側のAI活用や緩和策の強化が今後強く求められると見られます。)