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2026年6月、OpenAIのサム・アルトマンCEO、Anthropicのダリオ・アモデイCEO、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEO、Microsoftをはじめとする主要AI・テック企業のリーダーや科学者らが、米国政府に対して合成核酸(合成DNAやRNA)の注文および製造機器の販売に対する顧客審査と記録保持を法的に義務付けるよう求める共同公開書簡を提出しました。この背景には、対話型AI(人間の言葉を理解して文章などを生成する人工知能)の急速な進化により、専門的な知識を持たない悪意ある人物であっても、生物兵器の開発や致死的な病原体の人工的な製造手順を容易に学習できてしまうという深刻なバイオセキュリティ上の懸念があります。
合成生物学の進展により、人工的に病原体を設計・作成する技術自体は以前から存在していました。しかし、これまでは高度な設備や実験資源に加え、長年にわたる専門教育を受けた研究者しか扱えない「知識の壁」が存在し、これが自然な安全弁として機能していました。 今回の書簡が指摘するところによると、近年のAIは極めて短期間で性能を向上させており、一部の技術的な実験手順に関する回答において、特定の専門分野の博士号レベルのウイルス学者を上回る能力を示しています。これにより、専門的なバックグラウンドを持たない一般人でも、AIを介して危険な病原体の製造方法を入手できるようになる恐れが現実化しています。
現在、合成DNAやRNAを供給する主要企業は、2009年に設立された業界団体「国際遺伝子合成コンソーシアム(IGSC)」を通じて、不正利用を防止するための自主的なスクリーニングを実施しています。 しかし、この自主規制は法的強制力がなく、また高度な生成AIが登場する以前の基準で運用されているため、現代のセキュリティ脅威に対しては不十分であると署名者らは主張しています。書簡では、法制化を通じてすべての合成DNA供給企業に対し、顧客の身元確認と注文された塩基配列(遺伝情報を構成する化学物質の並び順)データの記録保持を義務付けるべきだと訴えています。
今回の公開書簡は、AIの発展がもたらす物理的脅威に対し、技術開発を牽引するAI企業自らが法的な規制強化を要請した点で注目を集めています。 AIの安全性を確保するためには、AIモデルそのものの開発規制だけでなく、生物兵器の物理的な材料となるバイオテクノロジーの流通経路(サプライチェーン)に対する実効性のある規制が不可欠であると見られます。顧客審査の義務化が実現すれば、AIの有益な医療研究への貢献を維持しつつ、安全保障上の深刻なリスクを抑止する強力な防壁となることが期待されます。
[!NOTE] 編集部注: AIモデルの規制とハードウェア・原材料側の規制を組み合わせるアプローチは、今後の先端技術ガバナンスにおける重要なモデルケースになる可能性があります。

GIGAZINE
AIで生物兵器の作り方を知れる時代に生物兵器に転用可能な合成DNA・RNAをネットで入手できる現状は問題だとしてOpenAI・Anthropic・Google・Microsoftなどが公開書簡に署名 - GIGAZINE
合成DNA・RNAがインターネットで簡単に入手できる現状は、研究・医療目的のためだとはいえ問題だとして、Anthropicなどのテック企業が署名した公開書簡が提出されました。署名者は、AIが生物兵器を開発しかねない状況を危惧しています。
https://gigazine.net/news/20260605-bioweapons-screening-open-letter

CNET
AI Leaders Call for Rules on Synthetic DNA to Limit Bioweapons Risk - CNET
The heads of OpenAI, Anthropic, Google DeepMind and more signed an open letter raising concerns about the rising biosecurity risks posed by better AI models.
https://www.cnet.com/tech/services-and-software/ai-industry-national-security-biological-weapons-synthetic-dna