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NVIDIAは、AIインフラ構築における最大の制約となっている電力供給ボトルネックを打破するため、AI工場プラットフォーム「NVIDIA DSX(電力網から変電所、ラックまでを一体として設計・シミュレーション・運用するAI工場基盤)」において、GE Vernova、日立エナジー(Hitachi Energy)、シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)、シーメンスエナジー(Siemens Energy)などの世界的エネルギー大手との協業を発表した。
電力網(送電網)、受電変電設備、データセンターファシリティ、そして内部のGPU計算クラスタを別々に設計する従来の手法を改め、変電所からラックまでを「単一のシステム」として計画・シミュレーション・リアルタイム制御するリファレンス設計と協業体制を構築する。
生成AIの大規模化に伴い、電力供給はインフラ拡張における最大の障害となっている。現在、3,000億ドル以上の関連設備が納期遅延に直面し、米国だけでも200ギガワット(GW)以上のプロジェクトが電力網への系統連系(インターコネクション)待ちの列を作っている。
この遅延の根本原因の一つがシステムの分断(サイロ化)である。電力網、受変電設備、IT機器が個別に設計されてきたため、余剰安全マージンの過剰確保や電力容量のデッドロック(遊休化)が発生していた。
NVIDIA DSXは以下のソフトウェア・ツール群でこれらの統合を可能にする。
世界を代表する電力エンジニアリング企業がDSXエコシステムに参画している。
| 企業名 | 連携内容・役割 |
|---|---|
| GE Vernova | 送電網から施設・ラックレベルまでの電力エンジニアリング知見をDSXに統合し、電力制約下でのトークン出力最大化と系統安定化を推進 |
| 日立エナジー | 同社の蓄電システム(BESS)が「NVIDIA DSX Ready」認定を取得。信頼性と拡張性の高い電力リファレンス設計要件を満たす設備として展開 |
| シュナイダーエレクトリック | AVEVA、ETAPと連携し、Vera Rubin向け電力・冷却リファレンス設計およびOmniverseを活用したAI工場デジタルツインを共同開発 |
| シーメンスエナジー | 発電・送電・配電を網羅する系統認識型リファレンス設計を開発。同社のNoedraデジタルツイン基盤でOmniverseやMetropolis、RAPIDSを活用 |
さらに、Phaidraは自律エージェントにDSX FlexやExchangeを統合して同一電力枠内で計算量を約10%引き上げ、Emerald AIはDSX Flexとの統合により既存米送電網で最大100GWの未利用容量を開拓できると試算している。
日本国内においても、データセンター新設に伴う電力確保が深刻な課題となっており、首都圏や関西圏での特別高圧受電の制約や、北海道・九州など再生可能エネルギー適地への分散立地が議論されている。
日立エナジーの大型蓄電システム(BESS)のDSX認定は、再エネ出力変動の吸収やピークカットを組み合わせた国内AIデータセンターの設計において重要な選択肢となる。ただし、日本の電力系統連系ルールや託送制度、消防法規制への適合、さらには各電力会社(一般送配電事業者)との系統連系協議にDSXの動的制御仕様がどこまで認可されるかについては、今後の国内実証が不可欠である。
NVIDIAは、単に高効率な半導体チップを提供する段階を超え、受電設備・冷却設備・電力系統に至るマクロインフラ全体のオーケストレーションを握ろうとしている。電力会社や重電メーカーをエコシステムに巻き込むことで、次世代ギガワット級AI工場の建設スピードを加速させる狙いがある。
引用元:NVIDIA Blog