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中国のテック大手であるByteDance、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)の3社が、米国の対中輸出規制に準拠したNVIDIA(米半導体大手)の新型ワークステーション向けGPU「RTX PRO 5500」を合計300万枚以上、総額350億ドル(約5兆4000億円)超規模で発注したことがReutersの報道で明らかになった。先端データセンター向けアクセラレータの対中輸出が厳しく制限される中、中国企業が規制対象外の高性能チップを確保してAI開発インフラを維持しようとする実態が浮き彫りとなっている。
ロイターが関係者への取材として報じたところによると、ByteDance、Alibaba、Tencentが発注した「RTX PRO 5500」は、1枚あたり約1万1400ドルの定価が設定されている。本製品は本来、最先端データセンターの大規模クラスタ用ではなく高性能業務用PC(ワークステーション)向けに設計されたグラフィックスカードだが、現行の米対中輸出規制下において中国企業が合法的かつ大量に入手可能なNVIDIA製チップの中で最も高い演算性能を持つ。
しかし、NVIDIAは顧客やパートナー企業に対し、需要が計画生産数を大幅に上回っているため発注通りの納入を保証できないと伝えている。中国企業全体からの受注はすでに600万枚を超えているのに対し、NVIDIAが来年世界全体で生産できる同カードは最大でも300万枚にとどまる見込みである。ある関係者によると、パートナー企業に対しては「要求された数量の5%から10%程度しか供給できない可能性がある」との通告がなされている。
NVIDIAは2026年12月に初期サンプルの提供を開始し、2027年第1四半期に商用出荷を始める予定である。しかし、製造を請け負うTSMC(台湾の半導体受託製造大手)の生産能力の大半は、次世代データセンター向けプラットフォーム「Rubin」へ優先配分される見通しとなっており、ワークステーション向けチップの増産余力は極めて限定的とみられる。
米国の輸出規制により、NVIDIAのBlackwell世代のデータセンター向けチップ「B300」は中国への販売が全面的に禁止されており、Hopper世代の「H200」についても個別審査による認可制が適用されている。
| 区分 | 主な対象製品 | 米国規制ステータス | 中国企業の調達状況 |
|---|---|---|---|
| 先端データセンター向け | Blackwell B300 | 全面輸出禁止 | 入手不可 |
| 前世代データセンター向け | Hopper H200 | 個別認可制(厳格審査) | 入手困難・数量限定 |
| ワークステーション向け | RTX PRO 5500 | 規制準拠(輸出可能) | 600万枚超の受注殺到・供給不足 |
中国企業はHuawei(ファーウェイ)など国内ベンダー製チップの活用も進めているが、最先端の米国製チップとの性能差や製造装置の調達制約に直面している。そのため、制約の厳しいデータセンター向けチップを諦め、ワークステーション向けGPUを大量に並列運用することでAIモデルの学習や推論基盤を補う動きが急速に広がっている。
もっとも、この調達戦略には大きな不確実性が伴う。米国政府がワークステーション向けGPUの大量導入を抜け穴とみなして規制範囲をさらに拡大するリスクがあるほか、割り当て供給比率が数%に留まる場合、中国各社が計画するAI基盤の拡張スケジュールが大幅に遅延する懸念がある。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、米国の対中輸出規制によって同社がかつて独占していた中国のデータセンター向けAIチップ市場のシェアが「実質的にゼロになった」と言及した経緯がある。しかし、今回のRTX PRO 5500への殺到は、中国テック各社がどれほどNVIDIAのハードウェアエコシステムに依存しており、かつ計算資源の確保に貪欲であるかを如実に物語っている。
同時に、この動きはNVIDIAにとってもジレンマを突きつける。TSMCの最先端製造ラインはより高収益な次世代アーキテクチャ「Rubin」に優先投入されるため、規制準拠の旧型・派生製品へ製造能力を割くことは全社的な供給最適化と相反する。さらに米中対立の行方次第では、出荷開始を待たずに新たな規制強化が課される可能性も排除できず、中国テック企業による計算資源獲得競争は今後も綱渡りの展開が続くとみられる。
引用元:台北時報