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中国のAI開発企業Moonshot AIが、Alibaba CloudからGPU(AI学習・推論に使う高性能な演算用半導体)約2万基のリース契約を結び、対話AI「Kimi」シリーズの学習・運用に活用していると、Bloombergが両社の事情に詳しい複数の関係者の話として報じた。契約の規模はMoonshotの総計算資源のかなりの部分を占めるとされ、米国の対中輸出規制下で計算資源の確保に苦心する中国AI企業が、クラウド事業者経由でGPUを調達する動きを象徴する事例といえる。
Bloombergの報道によれば、MoonshotがリースしたのはNVIDIAのHopper世代GPU「H200」だとされる。しかしAlibabaはこの点についてBloombergに対し「完全に根拠がない(completely groundless)」と否定し、実際に提供したGPUの機種は明らかにしていない。計算クラスタの設置場所も非公開のままだ。
Alibaba Cloudは中国国内に複数のデータセンターを持ち、近年は国際展開も加速させている。米国による先端半導体の対中輸出規制が続くなか、中国のAI開発企業がクラウド事業者経由で高性能GPUへのアクセスを確保する動きが広がっており、今回の契約もその流れの一例とBloombergは位置付けている。
Moonshotは7月、オープンソースの大規模言語モデル「Kimi K3」を公開したばかりで、パラメータ数は2.8兆に達するという。同社はその性能がOpenAIやAnthropicなど米国の最先端モデルに近づいていると主張している。今回報じられた計算資源の増強は、Moonshotが今後の学習・性能向上をさらに加速させる狙いがあるとみられる。なお、MoonshotとNVIDIAはいずれもBloombergの取材に応じていない。
今回の報道には、確定していない点が複数残る。第一に、リースされたGPUの実際の世代・機種はAlibabaが明言しておらず、H200かどうかは確認できていない。第二に、計算クラスタの設置場所も非公開である。
さらに、ホワイトハウス科学顧問のMichael Kratsios氏はSNS(X)上で、MoonshotがAnthropicの「Fable」モデルを蒸留(大規模モデルの出力を使い小型モデルを学習させる手法)してKimi K3を学習させたと主張し、加えて同社が「GB300搭載サーバーを取得し、タイでGB300にアクセスしている」と述べた。Alibabaはタイで2カ所のデータセンターを運営しており、Bloombergの取材源も、Moonshotが東南アジアでBlackwell(NVIDIAの最新世代GPUアーキテクチャ)世代GPUへのアクセス経路を持つことを確認したという。ただし、それがレンタルなのか直接購入なのかは明らかになっていない。直接購入であれば、最新世代チップの対中輸出を禁じる米国の規制に違反する可能性がある。編集部注: Kratsios氏の主張、蒸留の有無、GB300アクセスの手段については、Bloomberg報道の時点で独立した確認は取れていない。
Alibabaは、Moonshotに対する大口投資家であると同時に、今回のようにクラウド基盤を提供する立場にもある。一方でAlibaba自身も「Qwen」ブランドで大規模言語モデルを開発しており、競合にも計算資源を提供する構図になっている。編集部注: この二重の立場は、Moonshotの技術進展から利益を得つつクラウド事業を強化できる反面、投資先と自社モデル開発が並走する構造的な利害関係も示しており、中国のAI計算資源サプライチェーンにおいてクラウド事業者が果たす役割の大きさを浮き立たせている。
引用元:IDCNOVA