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米ミシシッピ州北部連邦地方裁判所は、イーロン・マスク氏率いるxAIのスーパーコンピューター施設「Colossus 2」向け自家発電設備を巡り、全米黒人地位向上協会(NAACP)らが提起した大気浄化法(Clean Air Act)違反訴訟について、米司法省(DOJ)が求めていた訴訟却下申し立てを棄却した
裁判所は司法省が市民訴訟を一方的に取り下げる権限はないと判断し、原告らによる大気汚染責任追及の審理が続くことになった
今回の決定は訴訟を継続できるかに関するもので、xAIの法的責任や健康被害について本案の結論を示したものではない
問題となっているのは、テネシー州メンフィスに位置するxAIの大規模AIデータセンター「Colossus 2」に電力を供給するため、隣接するミシシッピ州境近くで稼働している数十基の無許可ガスタービン発電設備である。
原告側の環境保護団体Earthjusticeは、発電設備が年間5,000トン超の窒素酸化物(NOx)、400トン超の微小粒子状物質、47トン超のホルムアルデヒドを排出し得ると説明している
これは排出能力についての原告側団体の推計であり、実際にその量が排出されたことを示す測定結果ではない
同団体は、これらの汚染物質が喘息や心疾患、呼吸器疾患、がん、早期死亡のリスク増加と関連するとして、メンフィスおよび北ミシシッピ地域の住民への影響を懸念している
こうした事態を受け、NAACPと地域住民は法に基づく適正な環境許可を取得せずに稼働を続けているとして、市民訴訟規定に基づく提訴に踏み切っていた。
トランプ政権下の米司法省は、大気浄化法違反に関する法執行権限を理由に、市民訴訟を連邦政府が一方的に却下・取り下げできると主張して訴訟の終了を申し立てていた。しかし連邦地方裁判所はこの申し立てを全面的に退けた。
裁判所は決定書の中で、「連邦政府に対して市民訴訟を一方的に却下する権利を与えるような解釈は、大気浄化法において合理的に成立し得ない」と指摘。司法省が主張する「深刻な憲法上の疑義」にも同意できないと退けた。司法省が訴訟に利害関係者として参加(介入)すること自体は認められたものの、参加後に連邦政府がなし得る権限の範囲は別問題であると釘を刺している。
なお、この地裁決定の直前には、米第5巡回区控訴裁判所も司法省が求めていた地裁審理の一時停止(ステイ)申し立てを却下していた。
今回の決定は、先端AI開発に伴う巨大インフラと地域環境保護が正面衝突した事例として極めて重要な意味を持つ。
| 項目 | xAIおよび司法省側の動き | 原告(NAACP・環境団体)側の主張 |
|---|---|---|
| 電力確保 | 送電網の接続待ちを回避するため数十基のガスタービンを配備 | 大気浄化法に基づく正規の環境許可を取得していない違法稼働 |
| 環境影響 | 連邦政府が訴訟却下を要求 | 年間5,000トン超のNOxを排出し得るとして、周辺コミュニティの健康リスクを懸念 |
| 司法判断 | 市民訴訟を一方的に取り下げる権限があると主張 | 地裁は却下申し立てを棄却し、控訴裁は地裁審理の一時停止申し立てを却下 |
大手テクノロジー企業が主導するAIデータセンターはメガワットからギガワット級の電力を短期間で要求するため、地域電力網の容量不足を補う目的で自家発電タービンを急速配備する動きが全米で広がっている。しかし環境アセスメントや排出規制の許認可手続きを迂回した運用は、地域社会の健康被害を招く要因として法的リスクを急速に高めている。
本件において現時点で未確定な点として、正式な公判期日の日程や、原告側が求めるガスタービン設備の稼働停止・削減を命じる仮処分が下されるかどうかが挙げられる。また、介入が認められた司法省が今後の法廷でどのような論理を展開するかも注視されている。
AIモデルの学習・推論インフラを巡っては、電力確保のスピードが企業の競争力を左右する現状があるものの、法規制や地域コミュニティとの合意形成を軽視したインフラ配備は、長期的な訴訟リスクと操業停止リスクを抱えることが今回の司法判断で浮き彫りとなった。AI開発企業には、クリーンエネルギーの調達計画と法規制遵守を両立させる持続可能なインフラ戦略が強く求められている。
引用元:Earthjustice