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米ボストンを拠点とするAIスタートアップASI(Air Space Intelligence)は、企業評価額30億ドルで3億2,500万ドル(約325Mドル)を調達するシリーズCラウンドを完了したと発表した。本ラウンドはSpark Capitalが主導し、Citadel Securities、Meritech Capital、Craft Ventures、Energy Impact Partners、Andreessen Horowitz(a16z)などが参画した。

ASIの創業者兼CEOであるPhillip Buckendorf氏は、「ハイテク業界全体がテキストの生成や操作をAIに学ばせるために数千億ドルを費やしてきたのに対し、ASIは物理的なアセットを管理・制御できるAIシステムに深く注力している」と語る。
同社のプラットフォームは、リアルタイム気象データ、航空路の混雑状況、管制官の人員配置などを統合モデル化し、数時間から数週間先までのオペレーションを予測する。問題が広範囲に波及する前にオペレーターが先手を打てる環境を提供している。
ASIの成長を牽引しているのが、政府機関からの大型受注である。2026年6月には米連邦航空局(FAA(アメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration)))から、AIを用いた全米の航空管制管理に関する12年契約(総額8億7,500万ドル)を獲得した。競合した米Palantirや仏Thalesを抑えての受注であり、9月からワシントン周辺空域で本格運用が開始されている。
さらに2026年10月には、米陸軍の次世代指揮統制プログラムに関して5年間・9,900万ドルの契約を結んだ。米空軍の作戦(Operation Epic Fury)において4,000人以上の運用者を支援した実績を持つ。
民間でも、デルタ航空、アラスカ航空、ユナイテッド航空などの大手航空会社が運航計画に導入しているほか、英米で電力送配電網を担うNational Gridや、eVTOL(電動垂直離着陸機)を手掛ける米JobyなどがASIの技術を採用している。
今回の大型調達は、自然言語処理を中心とした一般的な生成AIから、防衛・航空・エネルギー網といった「停止が許されない重要インフラ」を自律制御するAIエージェントへと投資家の視線が移っていることを示している。
2000年以降に設立されたテック企業の中で、米連邦政府からこの規模の公式主要調達プログラムを獲得したのはASIを含めてわずか4社にすぎないという。
調達資金は、航空管制にとどまらずエネルギー電力網や物流、防衛フィールド作戦へのプラットフォーム展開、およびボストン本拠の研究開発体制の拡充に充てられる。
物理世界の複雑な制約条件を解くAIエージェントが、国家レベルのインフラ運用基盤として定着していく兆しを強く印象付ける動きといえる。