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米Microsoftは2026年10月18日、英クラウド事業者Nscaleが英エセックス州ロートンで進めていた英国内最大規模のAIデータセンター計画について、電力供給の遅延懸念を理由にアンカーテナント契約を解除し撤退した。英紙The Guardianが報じた。現地の送電網事業者であるUK Power Networksが、2030年代半ばまで施設への十分な電力供給が不可能であると通知したことが引き金となった。英政府が「ソブリンAI戦略」の象徴として掲げていた大型国家プロジェクトが大きな暗礁に乗り上げた形だ。

問題となったロートン計画は、英スターマー政権が2025年に発表したAI行動計画において「国内最大のソブリンAIデータセンター」と位置付けられ、2027年の稼働開始を目指していた。開発主体のNscale(NVIDIAの支援を受ける英国発のAI特化型ネオクラウドインフラ企業)は、NVIDIA(AI計算向けGPUおよびアクセラレータの世界的最大手)と深い提携関係を結ぶ「ネオクラウド(GPU計算資源に特化してインフラを提供する新興クラウド事業者)」の代表格であり、Microsoftは同計画の唯一公表されていた大口顧客であった。
しかし、ロンドンおよびイングランド南東部の送電網を管理するUK Power Networks(UKPN)が、同地域における電力系統の容量不足を理由に、2030年代半ばまでデータセンターに必要な電力を供給できないとNscaleへ通告した。迅速な電力調達が困難と判断したMicrosoftは、ロートン拠点に関する利用合意の打ち切りを決定した。なお、MicrosoftはNscaleがノルウェーで進める別プロジェクトでの契約は維持しているという。
今回の離脱は、英国内外のAIインフラ投資に多面的な影響を及ぼしている。
生成AIのモデル巨大化に伴い、インフラの制約要因は半導体チップの調達から「十分な送電網と冷却電力の確保」へと急速にシフトしている。巨額の債務を抱えて先行投資を続けるネオクラウド企業にとって、送電遅延による稼働延期はキャッシュフローを直撃する重大なリスクとなる。AIデータセンターの誘致競争は、単なる用地確保にとどまらず、地域グリッドの近代化やエネルギー政策と一体化した長期戦略が問われている。
引用元:The Guardian