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法人向けセキュアWebブラウザ「Enterprise Browser(企業のセキュリティ統制やデータ損失防止機能を直接組み込んだ業務特化型ブラウザ)」を開発する米Islandは、Evolution Equity Partnersが主導するシリーズFラウンドで4億ドル(約600億円)の資金調達を実施したと発表しました。今回の調達により同社の企業評価額は64億ドル(約9,600億円)に達しました。本ラウンドには既存投資家のSequoia Capital、Coatue、Insight Partners、Cyberstartsなどに加え、CrowdStrike共同創業者ディミトリ・アルペロヴィッチ(Dmitri Alperovitch)氏らが参加しています。
2022年にサービスを開始したIslandは、これまでオフィス業務の中心であるWebブラウザにデータ損失防止(DLP)やアクセス制御を直接組み込むセキュリティモデルで急速に成長してきました。同社の従業員数は1,000人に達し、イスラエルメディアの報道によると年間経常収益(ARR)は約2億ドル規模に達しています。
今回の調達に伴い、同社は事業の主軸を単なるブラウザ提供から「人間とAIエージェントが協働するワークスペースの統制レイヤー」へと拡張することを掲げています。同社の新プロダクト「Enterprise AI」では、顧客企業がどのAIモデルを採用しているかを問わず、以下のガバナンス機能を一元提供します。
マイク・フェイ(Mike Fey)CEOは、「人間と同様に、AIエージェントが成果を上げるためには適切なコンテキスト、アクセス権限、ガードレール、そして説明責任が必要である」と述べています。
自律型AIエージェントが社内業務へ浸透するに伴い、エージェントの振る舞いを監視・制御するセキュリティ市場には有力プレイヤーが相次いで参入しています。
| 企業 / サービス | 主なアプローチと特徴 |
|---|---|
| Island | エンタープライズブラウザを基盤に、OS・ネットワーク・データを網羅する多層統制層を提供 |
| Neo | 2026年7月にステルス解除(1億ドル調達)。AIエージェント専用の制御レイヤーを構築 |
| Cloudflare | エージェント向けに特化したセキュアブラウザ環境を提供 |
| Anthropic | Claude Enterpriseにデータ損失防止(DLP)フックを直接組み込み |
| Palo Alto Networks | Talon買収を通じてエンタープライズブラウザを自社SASE基盤に無償統合 |
Islandは、デスクトップ端末とブラウザという「従業員とエージェントが実際に活動する接点」をすでに抑えている点を強みとしており、ネットワーク層やモデル単体に依存しない包括的な統制を提供できるとしています。
企業が自律型エージェントを業務導入する上で最大の課題は、「エージェントが自律的に社内データを閲覧し、外部SaaSを操作した際の責任追跡と暴走防止」です。単一のレイヤーだけでエージェントを管理することは難しく、ブラウザや端末レベルでの統合的なポリシー強制が不可欠となります。
評価額64億ドルという大型評価での資金調達は、AIエージェントのセキュリティ統制が今後の企業ITインフラにおける最重要分野の1つと認知されたことを示しています。今後、既存のエンタープライズセキュリティ企業との競争が激化する中で、エージェントガバナンスの実効性が試されることになります。
引用元:TNW