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米通信・半導体大手のQualcomm(クアルコム)は2026年9月20日、米Amazonと大規模AIデータセンター向けカスタム半導体の開発に関する大規模な提携契約を締結した。QualcommはAmazonに対し、最大40億ドル相当の新株引受権(ワラント)を発行。Amazon Web Services(AWS)のクラウドインフラ向けに、AI推論ワークロードに特化したカスタムプロセッサおよび超高速光接続コンポーネントを供給する。規制当局への提出書類によると、本包括契約に関連する両社間の潜在的な商取引規模は最大600億ドルに達する見通しだ。
提携の合意に基づき、QualcommはAmazonに対して1株あたり161.26ドルで最大2,500万株を取得できるワラントを発行した。このワラントは、AWSにおけるQualcomm製ハードウェアの調達マイルストーン達成に応じて段階的に権利が確定(ベスティング)する構造となっている。
両社による技術協力の中核となるのは、AWSデータセンターにおけるAI推論(学習済みモデルを用いて入力データから予測や回答を生成する計算処理)ワークロードの効率化だ。急増する生成AIの利用に伴い、データセンターの消費電力と運用コストの削減がクラウド事業者にとって最大の経営課題となっている。Qualcommが培ってきた省電力コンピュート設計のノウハウと、AWSの世界規模のインフラ展開力を融合させることで、エネルギー効率の高い推論インフラの構築を目指す。
本提携はカスタム演算チップの共同開発にとどまらず、次世代の光接続技術(オプティカル・インターコネクト)の提供も包括している。
ハイパースケーラー各社は現在、NVIDIA製GPUへの依存度低減とコスト削減を狙い、独自シリコンの配備を急速に進めている。GoogleのTPUやMicrosoftのMaia、そしてAWS自身のTrainium/Inferentiaがその代表例だ。そうした中、AWSが自社開発シリコンの継続と並行して、Qualcommとの大規模提携に踏み切った点は注目に値する。
日本の開発者やクラウド利用者にとっても、東京リージョンや大阪リージョンを含むAWS基盤に省電力・高スループットな推論チップや1.6Tb/s光伝送が組み込まれることで、将来的にはBedrockなどの生成AI API利用料金の低減やレスポンス速度の向上が期待できる。
一方で、共同開発されたカスタムチップの具体的な量産時期や、AWSが既存展開するInferentia2などの内製チップ群とのワークロード棲み分け方針については現時点で明らかにされておらず、今後の続報が待たれる。
Qualcommにとって今回の合意は、スマートフォン向け半導体への依存から脱却し、PC、自動車、そしてハイパースケール・データセンターへと収益源を多角化する戦略における極めて重要なマイルストーンとなる。AIソフトウェア基盤の強化やModular社の買収を経て、サーバー向けAI半導体エコシステムへの参入基盤を着実に固めてきた成果といえる。AWSにとっても、急膨張する推論需要に対応する強力なパートナーを確保した形であり、クラウドAIインフラにおける半導体勢力図に大きな影響を与える動きとみられる。
引用元:ICTbusiness.biz