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音楽業界大手のSony Music Entertainment(世界大手の総合音楽企業)およびUniversal Music Group(世界最大の音楽レコード会社グループ(UMG))は、音楽生成AIプラットフォームを手掛けるSuno(スーノ)の最新AIモデル「v6」が著作権を侵害しているとして、マサチューセッツ州連邦地方裁判所に新たな提訴を行った。Sunoはv6において一部の音楽レーベルと正規ライセンス契約を締結してモデル開発を行ったとアピールしていたが、原告側は過去の無許諾学習モデルの出力データを再学習(蒸留)に用いている点を「侵害の隠蔽(著作権ロンダリング)」であると厳しく追及している。
GizmodoおよびVarietyの報道によると、45ページに及ぶ訴状で提起された主な争点は以下のとおりである。
Sony MusicとUMGは、Suno自身が認めている「v6モデルの開発過程で過去モデルの出力を学習データとして利用した」という事実を重視している。 原告団は訴状において以下のように指摘した。
「侵害モデルの出力を用いて新しいモデルを訓練しても、著作権侵害が解消されるわけではない。それは侵害行為を資金洗浄ならぬ『著作権洗浄(launders)』しているにすぎない。v6は新たな出発点ではなく、同一の『毒樹の果実』である」
過去モデルが両社の管理楽曲を無許諾で大量スクレイピングして学習していた以上、そこから派生・生成された合成データで訓練された新モデルも依然として違法な派生物であるという法論理を展開している。
これに対しSunoの広報担当者は、訴訟の主張は「事実と法の両面で根本的に誤っている」と反論した。
本訴訟の背景には、2026年に入って表面化したSunoの内部データ流出事件と、音楽業界内の分断がある。
| 項目 | 原告(Sony Music / UMG)側の主張 | 被告(Suno)側の主張・経緯 |
|---|---|---|
| 学習元データの実態 | 過去の無許諾スクレイピングデータを合成データ経由で引き継いだと主張 | パートナーからライセンスされた正規データと独自の選好モデルで学習 |
| 流出データの影響 | 2026年初頭のハッキングでYouTube Music 200万クリップ、Genius 1.7万時間等の無許諾利用が露見 | 具体的な侵害立証としては不十分であり、音楽の一般的規則の学習にとどまると反論 |
| 他レーベルとの関係 | SonyとUMGはライセンス許諾を拒否し訴訟を継続 | 一部の大手レーベルとは公式に提携・許諾関係を結び「v6」を共同開発 |
AIモデルの出力を次世代モデルの学習に用いる「知識蒸留(大規模な親モデルの出力を使ってより小型や改良型のモデルを訓練・軽量化する手法)」や合成データ活用はAI業界で広く行われているが、元の親モデルに権利侵害があった場合に子モデルへ侵害責任が承継されるか否かは、生成AI著作権における最大の焦点となっている。
「正規ライセンスデータ」と「過去モデル由来の合成データ」を混合学習したAIモデルの法的評価は、音楽業界にとどまらず画像・言語モデルを含む生成AIエコシステム全体に甚大な判例的影響を与えることになる。