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米Meta(FacebookやInstagramを運営しスマートグラス等のハードウェアも開発する大手SNS企業)が販売するAI搭載スマートグラス「Meta smart glasses(カメラとスピーカー、AIアシスタントを内蔵したメガネ型ウェアラブル端末)」の利用者ら70人以上が、着替えや入浴、性行為といった私的な瞬間を無断で撮影・録音され、それらのデータがAI学習用として海外の下請け業者に送信されていたとして、米カリフォルニア州北部連邦地方裁判所に集団訴訟を提起しました。
ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)の報道によると、230ページに及ぶ修正訴状では、原告らはスマートグラスが意図せず起動し、家庭内での私的な映像が記録されていたと主張しています。
訴状に記載された具体例として、洗面台に置かれていたスマートグラスが無断で録画を開始し、家族が入浴やトイレを利用する様子が端末内ギャラリーに保存されていた事例や、1日に複数回にわたり意図しない誤作動が発生していた事例が挙げられています。さらに原告側は、「Hey Meta」などの音声コマンドによるAI呼び出し時だけでなく、メガネの位置を調整した拍子などの誤作動によって収集された映像・音声データがMetaのサーバーを経由してケニアなどの外部委託業者(Sama等)に送られ、低賃金の人間のワーカーによって視聴・アノテーション(ラベル付け)されていたと訴えています。
原告代理人のティナ・ウルフソン(Tina Wolfson)弁護士は、Metaが消費者の同意なしに生活空間を監視し、収集した映像・肖像をAIモデルの訓練に悪用したとして、詐欺や虚偽広告、各州の消費者保護法違反を主張しています。
これに対しMetaの広報担当者は、「Meta AIを利用する際、製品改善のためにデータをレビューする場合があるが、これは他社と同様の運用である。個人を特定できる情報を排除し、顔やナンバープレートにぼかしを施すなどのプライバシー保護措置を講じている」と反論し、法廷で全面的に争う方針を示しました。
本訴訟における主要な争点は下表のように整理されます。
| 論点 | 原告側の主張 | Meta側の公式見解・反論 |
|---|---|---|
| 撮影の契機 | 端末の誤作動や意図しない起動で私的空間が無断録画された | LEDランプ等で録画中を明示し、AI起動時のみカメラが作動 |
| データの取り扱い | 親密な映像が海外の外部委託ワーカーに閲覧されAI訓練に利用 | 個人特定情報のフィルタリングやぼかし処理を実施済み |
| 顔認識・NameTag | 実世界で他人の顔を特定する機能(NameTag)へ無断流用される懸念 | 一般向けの顔データベースは構築せず、未提供機能については慎重に対応 |
今回の訴訟は、スマートグラスのような「常時身につけるセンサー端末」が持つ本質的なリスクを浮き彫りにしています。第三者の盗撮防止(LEDインジケーターの視認性)だけでなく、装着者自身の意図しない録画や、端末からクラウドへ送信されるデータの二次利用範囲について、ユーザーが十分なコントロールを持てていないという不信感が根底にあります。
編集部注: AIエージェントが実世界を認識して支援を行うマルチモーダルウェアラブルは、次世代コンピューティングの最有力候補とされています。しかし、家庭やプライベート空間にカメラが入り込む以上、ローカル処理でのデータ廃棄や厳格なオプトイン設計が担保されなければ、消費者の受容を得ることは困難です。本集団訴訟の行方は、今後のウェアラブルAIデバイス全体のプライバシー基準と法規制の行方を占う試金石となります。
引用元:Los Angeles Times | Meta