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米Meta(FacebookやInstagramを運営する米ソーシャル・AI企業)が、自社SNSに投稿された写真からユーザーおよび非ユーザーの生体認証情報を無断で抽出し、スマートグラス向けの顔認識技術「NameTag」や画像生成AIモデルの学習・テストに流用したとして、イリノイ州生体情報プライバシー法(BIPA)などに違反する全米集団訴訟を提起された。
イリノイ州北部連邦地方裁判所に提出された訴状(Alvarez et al. v. Meta Platforms, Inc.)によると、MetaはFacebookやInstagramの写真から顔の特徴量やベクトル、幾何学的配置などの数値表現(顔埋め込み)を抽出していたとされる。
これらの生体識別子は、同社が「Ray-Ban Meta」などのスマートグラスやMeta AIコンパニオンアプリ向けに社内開発していた顔認識技術「NameTag」の訓練および照合用テンプレートとして作成されたと原告側は主張している。
2026年6月、米メディアWIREDがMeta AIアプリ内に未公開の「NameTag」コードを発見し、カメラで捉えた人物の顔からバイオメトリック署名を生成して端末内データと照合する仕様であることが判明していた。
訴状では、スマートグラス向け顔認識のみならず、画像生成モデル「Emu」や「Muse Image」の開発においても同意なく顔画像が学習された点が争点となっている。主な争点は以下の通りである。
Metaの広報担当者は「NameTag」コードの存在について、顔認識の探求を行っているものの消費者向けへの提供は行っておらず、最終決定も下していないと説明し、中央集権的な顔データベースの構築も否定している。
Metaは過去、Facebookの写真自動タグ付け機能を巡るイリノイ州BIPA集団訴訟で6億5,000万ドル(約1,000億円)、2024年にはテキサス州の生体認証プライバシー訴訟で14億ドル(約2,100億円)の記録的和解金を支払っている。
今回の訴訟が過去と異なる最大のポイントは、「未発売機能の研究開発段階における生体データ利用」および「生成AIの学習データ・潜在表現が生体情報に該当するか否か」という最先端の技術領域にBIPAの射程を広げようとしている点にある。もしAIモデルの潜在空間内の特徴量が「生体識別子」と認定されれば、世界中のAI開発企業の学習データ管理に甚大な影響を与えることになる。
スマートグラスをはじめとするウェアラブルデバイスの普及に伴い、利用者の視界に入る「第三者(バイスタンダー)」のプライバシー保護がグローバルで喫緊の課題となっている。Metaはかつて顔認識システムの閉鎖と10億件以上の顔テンプレート削除を発表したが、AIモデルの高度化に伴い、過去のデータ資産が再利用されているのではないかという社会的不信は根強い。裁判の行方は、スマートグラスへの顔認識実装の可否だけでなく、生成AIの学習プロセスそのものの適法性判断を左右する重要な試金石となる。
引用元:Biometric Update