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米国の有力地方新聞である「Newsday(ニュースデイ)」と「The Seattle Times(シアトル・タイムズ)」は、自社が多額の取材投資を行って制作した報道記事を無許諾かつ無報酬で収集され、AIモデルの学習や要約生成に不正利用されたとして、米OpenAIと米Microsoftを相手取り著作権侵害の疑いで連邦地方裁判所に提訴した。有料会員向けペイウォールを意図的に迂回したスクレイピングや、著作権管理情報の組織的な削除を告発し、損害賠償と無断利用の差し止めを請求している。
Thurrott.comおよび裁判資料によると、原告の2紙はこれまでに計30回のピュリッツァー賞を受賞している老舗報道機関である。
訴状において両紙は、OpenAIとMicrosoftが自動クローラーを用いて長年にわたり両社のウェブサイトから組織的に記事データを収集していたと指摘。その際、有料読者向けのアクセス制限(ペイウォール)を不当に回避しただけでなく、記事のタイトル、執筆記者名、著作権表示などのCMI(Copyright Management Information(著作権管理情報)。デジタルミレニアム著作権法で改ざんや削除が禁じられている権利保護情報)を意図的に改ざん・削除した上で、大規模言語モデル(LLM)の事前学習やファインチューニング、回答生成時のグラウンディングに組み込んだと主張している。
さらに、両社の生成AI製品が両紙の記事を一言一句違わない逐語的(verbatim)形式や酷似した表現で出力することにより、ユーザーが正規の「newsday.com」や「seattletimes.com」を訪れる必要性を奪う「直接競合する代替情報製品」として流通していると強く非難した。
訴状では、OpenAIらが過去の訴訟で主張してきた「フェアユース(公正利用)」の法理についても反論が展開されている。原告側は、AIの出力が原本記事の市場価値を直接毀損し、報道機関と同一の読者層を奪い合っている以上、新たな表現価値を付加する「変形的一般利用(transformative use)」には当たらず、法的な保護には値しないと主張している。
今回の提訴は、2023年12月にニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が両社を訴えた大型著作権訴訟と同一の構図を持つ。
先行するNYT訴訟では、裁判を省略して裁判官が判決を下す「略式判決(Summary Judgment)」に向けた最終準備書面が提出されたばかりであり、担当のSidney H. Stein連邦判事が数週間以内に判断を示す見通しとなっている。地方紙2紙による今回の提訴は、NYT訴訟の重要局面に合わせて提起されたものであり、AI開発企業に対するメディア業界の包囲網が一段と強まった形だ。
訴状の中で原告は、「自らの尾を食べるヘビのように、多大なコストをかけて調査された報道コンテンツを食いつぶし、AI生成の代替物で直接競合することは、独立した地方ジャーナリズムの存続そのものを脅かす」と危機感を表明している。
AI開発企業側は大手メディアグループとの個別包括ライセンス契約を進める一方で、契約に至らない地域紙や独立メディアとの対立は深まる一方となっている。連邦地裁においてStein判事が示す判断や今回の訴訟の審理行方は、Web上のコンテンツ収集慣行や生成AIの商用化モデル全体に対して重大な司法判断を突きつけることになるとみられる。
引用元:Thurrott.com