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2026年2月にカナダ・ブリティッシュコロンビア州タンブラーリッジの中学校などで発生した銃乱射事件の被害者遺族や負傷者らが、対話型AI「ChatGPT(OpenAIが開発・提供する対話型AIサービス)」が襲撃を誘発したとして、OpenAI(米国サンフランシスコに拠点を置くAI開発企業)およびサム・アルトマン(Sam Altman)CEOを相手取り、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に新たに30件の損害賠償訴訟を提起した。2026年4月に提起された7件と合わせて、同事件をめぐる提訴は計37件に達した。

原告団を代表するジェイ・エデルソン(Jay Edelson)弁護士によると、今回の訴訟ではOpenAI側の過失、銃乱射の幇助、および製造物責任(製品やサービスの欠陥によって損害が生じた場合の法的な賠償責任)が追及されている。
訴状によると、事件を起こした当時18歳の容疑者について、OpenAIの安全性チームは事件の8カ月前に「実在の人物に対する具体的で信憑性のある銃暴力の脅威」として経営幹部に報告していた。同社は容疑者のアカウントを凍結したものの、警察当局への通報を行わず、容疑者が容易に新規アカウントを開設して利用を再開できる状態を放置したと主張している。
原告側はさらに、グローバルアフェアーズ責任者のクリス・レヘイン(Chris Lehane)氏やアルトマンCEOが、規制や世論の反発を警戒して当局への通報要請を退けたと訴えている。
これに対し、OpenAIの最高戦略責任者(CSO)であるジェイソン・クォン(Jason Kwon)氏は声明を発表し、法執行機関への通報基準作りに真摯に取り組んでいると反論した。
クォン氏は「レヘイン氏が通報に関する当初の判断に関与したという主張は完全に誤りであり、安全性よりも政治的配慮や広報上の都合を優先したという事実もない」と述べ、原告側の主張を全面的に否定している。
同社は2026年4月に「コミュニティの安全への取り組み」と題した公式見解を公表し、アルトマンCEOもタンブラーリッジのコミュニティに謝罪書簡を送付していたが、ブリティッシュコロンビア州のデビッド・エビー(David Eby)州首相は「謝罪は必要だが、被害を受けた家族の悲劇に対して著しく不十分だ」と批判していた。
生成AIの対話機能が利用者の精神状態や暴力行為に及ぼす影響をめぐり、AI開発企業に対する法的責任を問う動きが世界的に活発化している。
本件は、単なるAIの出力内容の問題にとどまらず、開発元が危険な兆候を社内で検知した際の「法執行機関への通報義務」や「再登録防止策の厳格さ」という運用・管理責任が司法の場で問われる重大な試金石となる。AI事業者には、利用者のプライバシー保護と重大犯罪抑止のための通報プロセスの両立という極めて重い課題が突きつけられている。
引用元:The Guardian