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NVIDIAは2026年8月4日、AIネイティブストレージ向けプロセッサ「NVIDIA Vera BlueField-4 STX Storage Processor」に搭載された88コアCPU「NVIDIA Vera CPU」の基礎性能ベンチマーク結果を公開した。データ暗号化・復元・圧縮・CRC整合性チェックなど、ストレージ処理の主要マイクロベンチマークにおいて一般的なx86 CPUに対し最高3.67倍の処理スループットを記録したことを明らかにしている。

エージェント型AIワークフローでは、エンタープライズ知識の検索、永続メモリへのアクセス、KVキャシュの再利用など、単一の推論ステップで多数のストレージ入出力が発生する。これらの処理ではデータパス上で暗号化、データ保護、CRCチェック、圧縮・伸長などのCPUリソースを大量に消費する演算が繰り返し行われる。
Vera CPUはArmv9.2命令セットと互換性のあるNVIDIA独自設計の88コア「Olympus CPUコア」を搭載し、最大176スレッドの同時処理に対応する。ダイ上に統合された「Scalable Coherency Fabric(SCF)」が最大3.4 TB/sの内部帯域幅と164 MBの共有L3キャッシュを提供し、SOCAMM2 LPDDR5Xメモリサブシステムによりコアあたり最大14 GB/sのメモリ帯域を確保している。
公式ブログで公表されたベンチマーク結果では、以下の通り各処理項目でx86 CPUに対するスループット向上が示されている。
| 処理項目 | 測定内容 | Vera CPUの対x86向上倍率 |
|---|---|---|
| AES-128 暗号化 | ストレージ書き込み時の暗号化スループット | 最大 1.43倍 |
| AES-128 復号 | ストレージ読み出し時の復号スループット | 最大 1.29倍 |
| Reed-Solomon 復元 | 障害時の消失データ再構築スループット | 最大 3.26倍 |
| CRC32C 整合性検証 | 巡回冗長検査によるデータ破損検知 | 最大 3.67倍 |
| Zstandard 圧縮 | ストレージ容量削減のためのインライン圧縮 | 最大 3.29倍 |
| Zstandard 伸長 | 圧縮データの高速読み出し | 最大 1.72倍 |
| パイプライン処理 | 圧縮+暗号化の2段階マルチステージ書き込み | 最大 3.21倍 |
特にCRC32Cチェック(3.67倍)やReed-Solomon復元(3.26倍)、圧縮+暗号化のマルチステージパイプライン(3.21倍)において大幅な性能差が確認されており、データセンターでの電力および冷却コストの抑制に貢献する。
今回の発表は、今後構築が進むAIファクトリーや大容量データセンターにおいて、ストレージ層のCPUボトルネックを軽減し、GPUへのデータ供給効率を高める重要な技術実証となる。日本のクラウド事業者や大規模AI開発基盤においても、Vera CPUベースのストレージアーキテクチャの導入により、省電力かつ高密度なインフラ構築が可能になると期待される。
なお、今回のベンチマークは単一プロセス内のオンメモリ環境で標準ライブラリ(OpenSSL, Zstandard, LZ4)を用いて測定されたマイクロベンチマークであり、実際のファイルシステムやNVMe SSD、ネットワーク経由の最終エンドツーエンド性能については今後の検証が待たれる。