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インドの多国籍コングロマリットであるLarsen & Toubro(L&T)グループは2026年7月15日、グループ企業であるLTM(L&Tマインドツリーなど)の主導のもと、約14万人の全従業員を対象にMicrosoft 365 Copilot(Officeアプリ等に生成AIを統合した業務支援ツール)を導入すると発表した。これはインド国内における最大規模のエンタープライズAIワークプレイス変革となる。
L&Tグループ内で最大のITサービス・テクノロジー企業であるLTMは、先行してMicrosoft 365 Copilotを導入し、業務効率の大幅な向上を実証している。同社が開発したAIアシスタント「RAIma」により、ITやHR(人事)の問い合わせに対する自己解決率は**70%改善し、従業員エンゲージメントとHR部門の生産性は15%**向上した。
今回の展開では、2万3,000人以上のエンジニア(開発者)が日常的にAI開発ツールを使用しており、社内には1,300人以上のAIエキスパートと導入促進リードで構成される推進ネットワークが構築されている。LTMはさらに、既存の営業コンテンツを再利用して商談を加速する対話型AI「Agent A.S.K.(Agent for Stories and Knowledge)」や、チャット・音声による人事サポートを行う「RAIma」をグループ全体へ横展開する。また、全従業員の90%以上が生成AI(GenAI)に関するトレーニングを受講済みであるという。
今回のL&Tによる14万人規模の全社展開は、日本国内でMicrosoft 365 Copilotの導入を検討・推進している大企業(コングロマリットやSIer等)にとって、非常に参考になるケーススタディである。特に「全従業員の90%以上に生成AI教育を施したこと」や「1,300人の推進リーダーによるネットワーク」という運用体制は、ツールのライセンスを配布するだけで利用率が上がらないという日本企業の導入障壁に対する具体的解決策となる。
発表資料では、Microsoft 365 Copilotの具体的なライセンス費用や、14万人全員への展開に要するロードマップのタイムライン(完了予定時期)は明記されていない。また、AIアシスタント「RAIma」と「Agent A.S.K.」がMicrosoft 365 Copilotのどの機能(Copilot Studio等)とどのように連携して実装されているのかの詳細も未公開である。
一般的に、数万人を超える巨大な組織への生成AIツールの導入は、セキュリティガバナンスや従業員のリテラシーの差から難航することが多い。L&Tグループが14万人という超大規模な全社展開に踏み切れた背景には、自社グループでITサービスを担うLTMが主導し、先行して明確な成果(IT/HR問い合わせの70%解決向上)を出しつつ、推進リードの育成や全社教育を周到に進めていたことがある。今回の事例は、AIツールを単に個人用の支援ツールとして配布するだけでなく、社内インフラや業務プロセスに「組織的に埋め込む(AI-first operating model)」ことこそが、大規模運用の成功の鍵であることを示している。