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米OpenAIは7月9日(現地時間)、次世代の大規模言語モデル(LLM:大量のテキストデータを学習したAI)である「GPT-5.6」ファミリーの一般提供(GA)を開始しました。本ファミリーは、最上位モデルの「Sol(ソル)」、中位の「Terra(テラ)」、軽量高速な「Luna(ルナ)」の3モデルで構成されます。従来のLLMと比べて、出力トークン数(AIがテキストを処理する際の最小単位)や処理時間、API(他のソフトウェアとAIを連携させる仕組み)利用料金を大幅に削減しつつ、高度なタスクを実行できる点が特徴です。さらに、複数のAIエージェント(自律的にタスクを実行するAI)を並行して機能させる新しい動作モード「ultra(ウルトラ)」や、モデル自身がプログラムを実行して複数のツールを制御する「Programmatic Tool Calling(プログラムによるツール呼び出し)」などが搭載され、実用性が飛躍的に向上しています。

GPT-5.6は、多様なニーズに対応するために3つのティア(階層)で提供されます。100万トークンあたりのAPI料金はそれぞれ、最上位のSolが入力5ドル/出力30ドル、Terraが入力2.5ドル/出力15ドル、Lunaが入力1ドル/出力6ドルとなっています。 性能面では、特に専門分野の長時間ワークフローを評価するベンチマーク「Agents' Last Exam(高度な専門業務を評価する指標)」において、Solは53.6%(表内の標準評価では52.7%)を記録し、競合である米AnthropicのClaude Fable 5(クロード・フェーブル5)を13.1ポイント(中程度推論設定でも11.4ポイント)上回りました。この際、Solの推定コストはFable 5の約4分の1に抑えられています。さらに、軽量モデルのTerraおよびLunaも、約16分の1のコストでFable 5と同等以上の性能を発揮します。 また、コンピュータの画面操作を評価する「OSWorld 2.0」では、Solが62.6%のスコアを出し、従来モデルのOpus 4.8を上回りつつも、出力トークン数を85%削減することに成功しました。
GPT-5.6で新たに導入された「ultra」モードは、標準で4つのAIエージェントを並列で協調動作させることが可能な設定です。これにより、単一のエージェントでは困難だった複雑なタスクをより短い遅延(待ち時間)で完結させることができます。本モードは、ChatGPT WorkのPro/Enterpriseユーザーや、開発ツール「Codex」のPlus以上のプランで利用可能です。 開発者向けには、「Programmatic Tool Calling」がResponses APIを介して提供されます。これはモデル自身がメモリ内でプログラムを書いてツールを呼び出し、中間データを自動でフィルタリングする機能です。モデルとAPIとの間で行われる不要な往復通信やトークン消費を抑制でき、Zero Data Retention(ZDR:データ非保持)にも対応しています。また、予測可能なプロンプトキャッシュ(指示文を一時保存して料金を抑える技術)機能も提供され、キャッシュからの読み取りは90%割引されます。
安全対策面では、新たに「reasoning monitor(危害の可能性を監視する推論システム)」を搭載した多層防御システムが導入されました。これは単純な判定器(分類器)ではなく、推論プロセス自体が対話の中に潜むリスクやjailbreak(安全ガードレールを回避する手法)を検知・監視する仕組みです。このリアルタイムの推論監視により、モデル全体の再学習を行うことなく、新たな攻撃手法に対して迅速に防御措置を更新できます。 また、防御的サイバー作業(脆弱性検証やマルウェア解析など)に特化したプログラム「Trusted Access for Cyber」も提供され、参加資格を得た組織や個人は高度なサイバー防御能力にアクセスできます。ただし、利用者は9月1日までにセキュリティ強化(ハードウェアキーを用いたAdvanced Account Security)を有効化する必要があります。
OpenAIは、GPT-5.6を社内のAI研究開発ループ自体にフル活用しています。デバッグや学習の最適化、実験実行などに導入した結果、テスト期間中の研究者一人あたりの平均日次出力トークン数は、GPT-5.5のピーク時の2倍以上に達しました。 過去6ヶ月間で、同社における研究目的のコーディング推論計算資源は100倍に、エージェント用のトークン使用量は約22倍に急増しています。自己改善(AIが自身の性能を向上させるプロセス)能力を評価する「Aggregate RSI capability」評価では、GPT-5.5と比較して16.2ポイントの向上を記録しており、開発サイクルのさらなる高速化に寄与していると見られます。
GPT-5.6の一般提供開始は、AIエージェントによる業務自動化の領域を新たなフェーズへ進めるマイルストーンになると見られます。特に「ultra」モードや「Programmatic Tool Calling」に代表される並列・プログラム制御技術は、開発コストを抑えながらも、人間が介在しない長時間の業務フローをAIだけで安全に完結させる道を開いています。一方で、大幅に向上したサイバー機能や推論能力は悪用リスクも孕んでおり、新たに導入された「reasoning monitor」などの安全対策の実効性が今後の運用における鍵を握るでしょう。OpenAI自身による「自己改善」の加速が示す通り、今後はAIがAIを開発する流れがさらに強まる可能性が高いと予想されます。
引用元:窓の杜 | Impress Watch | ITmedia AI+

窓の杜
OpenAI、「GPT-5.6」の一般提供を開始 ~少ないコストで高性能、安全性も強化/4つのエージェントを並列にした「ultra」モードも、高難度タスクの処理を高速化
米OpenAIは7月9日(現地時間)、次世代大規模言語モデル「GPT-5.6」ファミリーの一般提供(GA)を開始した。先月末から限定プレビューされていたが、「ChatGPT」「Codex」「OpenAI API」で同日よりグローバルでロールアウトされる。
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2124016.html

OpenAI Deployment Safety Hub
GPT-5.6 System Card
GPT-5.6 is a new family of three models: Sol, our new flagship model; Terra, a capable lower-cost option; and Luna, our fastest and most cost-efficient model. The safeguards we have built for this launch—our most robust yet—are built to deliver these models safely and at scale, around the world.
https://deploymentsafety.openai.com/gpt-5-6/cybersecurity-threat-modelling

OpenAI Developers
OpenAI API
Explore all available models on the OpenAI Platform.
https://developers.openai.com/api/docs/models

Impress Watch
OpenAI、最上位モデル「GPT 5.6」が一般公開 最高性能を低コストに
OpenAIは9日(米国時間)、最新のフロンティアモデル「GPT-5.6」モデルファミリーの一般提供を開始した。ChatGPT、Codex、OpenAI APIで提供開始され、24時間以内に完了予定。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2124043.html
ITmedia AI+
OpenAI「GPT-5.6」一般公開 最上位モデルは「コスト半分で一部 Fable 5超え」うたう
OpenAIが新AIモデル群「GPT-5.6」を一般公開した。最上位の「Sol」は、Anthropicの「Claude Fable 5」を超える性能を推定コスト半分程度で実現するとうたう。(1/2 ページ)
https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2607/10/2000000183