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韓国の国立研究大学であるKAIST(韓国科学技術院)の研究チームは、AIエージェント(自律的にタスクを計画・実行するAIシステム)が実際のサービス環境で消費する電力と計算リソースについて、世界初となる体系的な分析を実施しました。その結果、AIエージェントは通常の生成AI(ユーザーの質問に回答するAI)と比較して、クエリ1件あたり最大136.5倍もの電力を消費することが判明しました。この研究は、高度なAI機能の維持に必要な処理能力とコストの大きさを定量的に示し、持続可能なインフラ構築の重要性を提起しています。
研究チームの分析によると、AIエージェントは外部ツールとの連携や自律的な計画決定を行うため、通常の生成AIと比べて平均9.2倍多くLLM(大規模言語モデル。文章生成などのAI基盤)を呼び出します。これにより、応答時間は最大153.7倍に跳ね上がることが明らかになりました(Seoul Economic Daily)。また、外部ツールを使用している間はGPU(AIの高速計算を行う半導体プロセッサ)が待機状態になる時間が実行全体の54.5%を占めており、ハードウェアの利用効率が低下していることも課題として浮き彫りになりました。
商用サービスで一般的に用いられる700億パラメータ規模のLLMを使用した場合、AIエージェントは1クエリあたり平均348.41Whの電力を消費しました。これは通常の生成AIと比較して最大136.5倍に相当します。仮に将来、世界中で1日あたり137億件のAIエージェント処理が行われたとすると、必要な電力は約198.9GWに達します。これは米国全体の平均消費電力の約半分に匹敵する極めて巨大な規模です。
一方で、専門家からは「単純なチャット応答と、複雑なタスクを代行するAIエージェントを単純比較することは難しい」との指摘も上がっています。しかし、複雑な問題を自律解決するには従来のAIよりもはるかに多くのエネルギーが必要になることは明白です。元科学技術情報通信部長官のチェ・ギヨン氏は、データセンターの規模拡大やコスト投資だけに頼る従来の手法では、今後のAIエージェント普及期における需要を維持できない可能性をAju Pressで指摘しています。
AIエージェントは複雑なソフトウェア開発や研究支援などを自動化できる強力な技術ですが、その代償として膨大な電力と計算資源を必要とします。研究を率いたユ・ミンス教授は、今後のAI普及時代においては、モデルの軽量化やデータセンターの効率化に加え、電力インフラも含めた統合的な最適化アプローチが必須になると指摘しています。エネルギー問題がAI開発の新たなボトルネックとなる中、省電力チップの開発(人間の脳に着想を得たチップの例)や持続可能なインフラ設計への移行が急務となるでしょう。
引用元:GIGAZINE