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NVIDIAは、複数の大学の研究チームと共同で、AIロボットが自律的に制御プログラムを記述・実行し、さらにエラーを自己デバッグして能力を高めていく継続学習フレームワーク「ASPIRE(アスパイア)」を発表しました。従来のロボット開発のように人間が固定のプログラムを書き下すのではなく、AIが試行錯誤を通じてエラー原因を特定し、得られた解決策を「スキルライブラリ」として蓄積・再利用できるのが特徴です。
ASPIREは主に、ロボットの動作やエラーログを「ブラックボックス(飛行記録装置)」のように記録する「閉ループ実行エンジン」、成功したデバッグ手順を再利用可能なルールとして記憶する「スキルライブラリ」、そして単一の解法に固執せず多様なプログラム案を並行して検証する「遺伝的(エボリューショナリー)検索」の3つの要素で構成されています。これにより、ロボットが障害物にぶつかった際などに、カメラの誤認識なのか、掴み方のミスなのかを特定し、自律的にコードを修正できます。
ASPIREの大きな強みは、シミュレーション(仮想空間)で獲得した汎用的なスキルを、機械構造や制御プログラムが異なる実世界の物理ロボット(実機)へ容易に転送できる点です。これにより、ロボットごとに一からデバッグを行う必要がなくなり、現場での開発コストを大幅に低減できます。
実証実験において、実機のロボットが炭酸飲料の缶を拾い上げるタスクを行った際、事前にシミュレーションで学習したスキルを適用することで、デバッグに必要な「推論トークン」(AIが処理する文字やデータの最小単位)の消費量を約61.94M(百万)トークンから6.58Mトークンへと、約10分の1に削減することに成功しました。また、タスクの成功率も13/20から19/20へと向上しており、実務利用における計算費用の抑制と信頼性の向上を両立させています。
ASPIREは、ロボット自身が継続的にスキルを獲得し成長していく、いわば「自律的なソフトウェアエンジニア」としての役割を果たします。この技術の普及により、多品種小ロットの工場ラインや家庭環境など、不確実性の高いリアルワールドへのロボット導入のハードルが劇的に下がると見られます(編集部注:今回の実験は一部の検証用ロボットで行われたものであり、異なるセンサーや多様なハードウェアが混在する実際の現場における汎用性の検証はこれからの課題です)。