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イーロン・マスク氏率いるAI企業「xAI」が米国テネシー州メンフィスのデータセンター向けに無許可でガスタービン(発電機)を稼働させているとして、全米黒人地位向上協会(NAACP)などの環境・市民団体が大気浄化法違反で提訴していた訴訟において、トランプ米政権の司法省(DOJ)は裁判所に対し訴訟を棄却するよう申し立てました。司法省は、xAIのAIチャットボット「Grok」の特別軍用バージョンが米軍の防衛作戦で実用されており、「国家安全保障上不可欠である」と主張し、民間訴訟によって電力供給が絶たれれば軍事イノベーションが著しく阻害されると主張しています。
NAACP側は、xAIのスーパーコンピューター群に電力を供給するために、xAIがミシシッピ州サウスヘイブンにおいて、大気汚染物質の排出許可を得ずに59基の天然ガスタービンを稼働させているとして提訴しました。データセンターが隣接するエリアやサウスヘイブンは、歴史的に黒人が多く居住する地域です。このタービン群は年間最大5,300トンの窒素酸化物(排ガスに含まれる大気汚染物質)を発生させる可能性があり、深刻なスモッグや健康被害を引き起こしていると住民らは抗議しています。
司法省が裁判所に提出した申立書および国防総省の宣誓供述書によると、Grokの特殊仕様モデルはイラン戦争においてすでに実戦投入されていました。このAIモデルの支援により、米軍はわずか96時間以内に2,000カ所の異なる目標へ2,000以上の兵器を展開することに成功したとされています。司法省は「民間団体が政府の同意なしにクリーンエア法を盾にとって訴訟を起こすことは、米国の経済・エネルギーおよび防衛安全保障を脅かすものである」とし、法執行の裁量は政府のみにあると主張しました。
環境司法を専門とする団体アースジャスティスなどの関係者は、政府が民間訴訟を差し止めるために自ら被告である大企業を擁護する形で介入することについて、「前例がない」「連邦政府による威圧(Bullying)だ」と強く反発しています。大気浄化法のような法律は、政府の執行が不十分な場合に地域住民が自ら汚染源を告発し、権利を守るための安全網として機能してきた歴史があるため、今回の司法省の対応は大きな物議を醸しています。
今回の司法省の介入は、最先端AIのインフラ建設やその膨大な電力消費をめぐる問題が、単なる環境規制の話を超えて「防衛・軍事の覇権争い(国家安全保障)」と直結している現実を象徴しています。裁判所がこの棄却申し立てをどのように判断するか注目されますが、もし政府の主張が認められれば、AIの開発拠点や発電所がもたらす周辺地域の環境負荷や健康被害に対して、地域コミュニティが法的に対抗する手段が大幅に制限されることになり、深刻な人権・環境問題に発展する恐れがあると見られます。
引用元:Word In Black