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Microsoft Researchは、AIエージェントが長期にわたる会話や作業の歴史を忘れることなく効率的に格納・検索するための長期記憶アーキテクチャ「Memora: A Harmonic Memory Representation Balancing Abstraction and Specificity」を発表しました。このシステムは既存のRAGなどに比べトークン消費を大幅に抑えつつ高精度な情報検索を実現します。
従来の記憶手法は、情報を要約すると詳細(数値や例外条件など)が失われ、詳細をそのまま残すと記憶の断片が増えすぎて全体像の把握が難しくなる課題がありました。Memoraは、詳細な会話やプロジェクト情報を「memory value」としてそのまま保存する一方で、検索の入り口となる主旨(primary abstraction)と関係名やトピックなどの手がかり(cue anchors)を切り離して設計することで、必要な文脈を多様な切り口から検索可能にしました。
会話履歴のベンチマーク「LoCoMo」を用いた評価において、Memoraのポリシーベースの検索手法「Memora(P)」は正解判定率(LLMスコア)で86.3%を記録しました。これは、コンテキスト全体を読み込ませる従来方式やMem0、既存のRAGなどのアプローチを上回る性能でありながら、トークン消費量を最大98%削減することに成功しています。
現在Memoraはコードと研究成果の公開段階であり、Microsoft 365 Copilotなどの製品には搭載されていません。しかし、このアーキテクチャが製品に統合されれば、AIエージェントが対話を重ねるたびに過去の経緯を忘れてしまうボトルネックが解消され、真の意味で長期的に協働して知識を蓄積するパートナーとしての実用化が大きく進むと見られます。