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Alibaba Cloud(アリババクラウド)は2026年6月9日、マレーシアのジョホール州に新しいパブリッククラウドリージョン(インターネット経由で共同利用するデータ拠点の単位)を開設し、2つのデータセンター(IT機器を設置・運用する施設)を新設すると発表しました。本インフラは急増するAI(人工知能)対応インフラへの需要に応えるもので、マレーシア国内および東南アジア全域における企業のデジタル変革を加速させることを目的としています。この新リージョンの開設により、Alibaba Cloudのマレーシア国内のデータセンターは計5拠点となり、同社にとって東南アジア最大規模のインフラ拠点となります。
今回のジョホールリージョン新設は、Alibabaが2025年に発表した総額530億ドルのAIおよびクラウドインフラ投資計画の一環です。これにより、同社の世界的なインフラ拠点は32リージョン、104アベイラビリティゾーン(物理的・電源的に独立した施設群)に拡大します。 また、Alibaba Cloudはマレーシア国内で2026年後半より、AIエージェント(自律的にタスクを実行するAIシステム)の開発を支援するプラットフォーム「AgentRun」や、AIエージェントの運用コストを抑えつつ安全性を高める隔離環境「ACS Agent Sandbox」、AIエージェント向けの統合セキュリティ運用プラットフォーム「Agentic SOC」などを含む、エンタープライズ(大企業)向けの包括的なAIエージェント製品群を順次導入していく計画を明示しています。
Alibaba Cloudは、マレーシア現地企業との技術連携も強化しています。 モバイル決済「TNG eWallet」を運営するTNG Digitalは、Alibaba Cloudのデータ基盤と検索技術を活用し、検索・推奨機能の強化やパーソナライズされた体験の提供を進めています。また、YTL Corporation傘下のYTL AI Labsは、Alibaba CloudのAIアーキテクトらと協働してマレー語対応の独自モデルファミリー「ILMU」を開発しており、多言語理解での高い性能を実証しています。さらに、ビジュアル生成AIプラットフォームのMorphyx.ioやTabSpace.aiは、同社の動画生成モデル「Wan2.7」などを活用して制作時間の大幅な短縮とコスト削減を実現していると報告されています。

マレーシア政府は2030年までに「AI国家」になる目標を掲げており、今回のインフラ拡張はその強力な推進力になるとマレーシアのゴビン・シン・デオ(Gobind Singh Deo)デジタル大臣は期待を示しています。 (編集部注:東南アジアは地理的な利便性や成長性の高さから、米中ハイパースケーラーによるインフラ投資競争の主戦場となっています。Alibaba Cloudがマレーシアで最大規模の拠点を構えることは、マレーシア国内の企業だけでなく東南アジア全体における同社の競争力を高める重要な一手になると見られます)