AI関連の最新ニュースをピックアップ

米国のドナルド・トランプ大統領と革新派のバーニー・サンダース上院議員が、AI(人工知能)企業の株式を政府が取得し公的に所有する構想について、OpenAI(オープンAI)のサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)とそれぞれ個別に協議を行っていることが判明しました。これは、AI開発がもたらす経済的成長の果実を「Public Wealth Fund(国民富裕基金。国が保有する資産を運用して国民に利益を分配する仕組み)」などの制度を通じて国民へ直接還元することを目指す動きです。トランプ大統領は、近いうちに主要AI企業のトップらをホワイトハウスに招いて協議する意向を示しました。
サンダース氏は、AI企業の株式の50%を政府が取得し、その配当等を利用して公的富裕基金を創設する法案を提案していました。これを受けてアルトマン氏はサンダース氏のオフィスを訪ね、約1時間にわたり会談を行いました。アルトマン氏はサンダース氏に対し、自身も「AI企業の公平な持ち分(equity)を国民が保有すべきだ」という理念には同意していると伝えたとされています。ただし、50%という比率や意思決定権の付与について具体的な約束はしなかったものの、公的所有の大枠のコンセプトについては協力したいとの意向を示しました。
トランプ大統領も大統領専用機内で記者団に対し、「米国国民がAIの成功から恩恵を受けられるパートナーシップのようなもの」を構築する構想に前向きな姿勢を示しました。報道によると、トランプ政権とアルトマン氏による政府の株式取得に向けた交渉は2025年まで遡るとされています。OpenAIが2026年4月に発表した産業政策提言に基づき、OpenAIが自主的に一定比率の株式を米国政府に提供する方向で協議が進められていますが、具体的な比率は未定です。なお、トランプ政権は過去に半導体大手Intel(インテル)に約90億ドルを出資して10%の株式を取得した実績があります。
こうした動きの背景には、急速なAI普及に対する一般市民の強い懸念があります。ハーバード大学の調査では、大学生の約70%がAIによって雇用が脅かされると感じています。また、オハイオ州やバージニア州などでは、電力や水資源を大量に消費するデータセンター(大量のコンピューターを設置してAIの処理を行う施設)の建設に対して、地域住民の反対運動や優遇税制の見直しが進んでいます。
AI企業の公的所有(政府による株式取得)というアイデアは、本来の保守派の自由主義的な方針とは対立するものです。しかし、トランプ氏とサンダース氏という政治的立場の異なる両者がこの構想を支持していることは、アメリカにおけるAIに対する有権者の強い不安とポピュリズム(大衆迎合)の圧力を反映していると見られます。OpenAIが政府と「パートナーシップ」を結び株式を提供することは、最近署名されたAI大統領令に基づく公開前審査などの規制強化とも密接に関連しており、今後のAIガバナンス(企業や技術の統治体制)のあり方に大きな影響を与える可能性があると編集部は見ています。