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Cisco Systems(シスコシステムズ)は、AIエージェント(自律的にタスクを実行するAI)によってITインフラを自律運用する概念「AgenticOps(エージェンティックオプス)」の適用ポイントとして自社ネットワーク機器を位置づけ、これを統合管理するプラットフォーム「Cisco Cloud Control」の限定提供を開始しました。本プラットフォームは、従来乱立していた管理インタフェースを一本化し、共通のオーケストレーション層(連携制御システム)を提供するものです。2026年後半には、OpenAIのプログラムコード生成AIである「Codex(コーデックス)」を組み込んだローコード(少ないプログラミングで開発できる手法)開発ツールなども搭載される予定です。
「Cisco Cloud Control」は、セキュリティやネットワーク管理、オブザーバビリティ(システムの稼働状況を詳細に把握・監視できる可観測性)などの管理機能を一元化します。この基盤は、ログデータを収集するデータ基盤「Cisco Data Fabric」と密接に連携します。さらに、2026年後半にはAIエージェント作成用の「Agent Builder」や、Codexを搭載したローコードツールが追加され、インフラ運用者が独自の自律制御プロセスを容易に開発できる環境が整う見込みです。
2026年6月にベータ版が公開されるシスコ製の新世代スイッチやルーターでは、ネットワーク特化型のAIエージェント機能である「Network Actions」がサポートされます。本機能には、本番環境に影響を与えることなく設定変更のシミュレーションができる「デジタルツイン(現実のネットワークを仮想空間に再現する技術)」機能が含まれています。これにより、AIが設定変更する際のリスクを事前に評価し、ネットワーク自律制御への信頼性を高める狙いがあります。
AIエージェントを活用したITインフラ管理は、MicrosoftやGoogle、AWSなどの競合他社も独自のオーケストレーションプラットフォームを展開しており、既存顧客の囲い込みを巡る争いが激化しています。また、AIエージェント間のデータ通信に伴う転送コスト(エグレスコスト)が課題となるなか、シスコはAIトークン(AIの処理単位)のプールを含む3つのライセンス階層を導入し、課金の明確化を図っています。
これまで製品ごとに異なるツールでの管理が必要だったシスコのポートフォリオにおいて、今回の統合プラットフォームの登場は運用管理の大幅な効率化に寄与するとみられます。AIによるネットワーク自動制御は、サーバーに比べて障害時の影響範囲が広いため導入のハードルが高いとされてきましたが、デジタルツイン機能による検証環境の提供がその障壁をいかに取り除けるかが今後の普及の鍵となるでしょう。