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ドイツのスタートアップMicroAGIは2026年5月28日、ニューヨーク市の住民向けに無料の家事代行サービス「Shift」アプリを立ち上げた。プロのクリーナーを無料で派遣する代わりに、カメラを装着した作業員が一人称視点で清掃作業を撮影し、そのデータを家庭用ロボットのAI訓練に使用する。
Shiftアプリのウェブサイトはニューヨーカーに「信頼できるプロの家事代行を無料で提供する」とうたい、その見返りとして「次世代の家庭用ロボット訓練のための一人称清掃映像の収集に協力する」としている。予約には氏名・メール・住所のほか入室方法などの情報提供が必要で、1件あたり約2時間の作業が想定される。
ウェブサイトのFAQによれば、顔・氏名などの個人情報は「自動的に匿名化・ブラー処理」されてからクラウドにアップロードされるとしている。ただし、プライバシーポリシーにはトレーニングデータセットからの映像削除を求める手段の記述がなく、家庭内の場所が特定される可能性への対処も明確でない。
無料清掃サービスは宣伝上の入口に過ぎず、Shiftアプリの本体はカメラ付きヘッドバンドを装着して日常的な家事や業務タスクを録画するギグワーカーを「オペレーター」として時給20ドルで採用する仕組みだ。同社は既に15カ国で「数万人」のオペレーターが稼働し、2026会計年度第1四半期に合計500万ドル以上を支払ったと主張している。EnCordやMicro1など同様のデータ収集企業も存在しており、ロボット訓練データのギグエコノミー化が進んでいる。
MicroAGIのアプローチは、家庭ロボット向けの実世界トレーニングデータが依然として不足していることを示している。無料で価値のあるサービスを提供してデータを収集するモデルは新しくないが、プライベートな住環境を対象とする点でプライバシー上の感度が高い。ロボット訓練データ業界が拡大するにつれ、収集側の透明性向上とユーザーの権利保護の枠組み整備が急務となるだろう。