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中部電力は2026年10月26日、日本マイクロソフトの技術支援を受け、エネルギー事業におけるAI活用とデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する連携を発表した。「Microsoft Copilot(マイクロソフトが提供する業務支援AIアシスタント)」やクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure(マイクロソフトの包括的クラウドコンピューティング基盤)」を全面活用し、電気工事ロボットの自動化や営農型太陽光の発電シミュレーションなど4つの重点テーマを推進する。人口減少に伴う現場の技術継承と脱炭素化を同時に支える先進的な社会インフラDXモデルを目指す。
中部電力と日本マイクロソフトが設定した重点テーマは以下の4点である。
1つ目は「施工現場でのAI・ロボティクス活用」だ。電気工事の現場にフィジカルAI(物理環境でロボット等を自律制御するAI技術)を取り入れ、高所作業車に搭載したロボットによる作業の自動化・省人化を図る。Azure上に構築した画像認識AIにより、社内システムと現場ロボットを連携させるインターフェースを設計・実装し、現場での実証実験を進める。
2つ目は「営農型太陽光発電の最適化」である。農地の上部空間で太陽光発電を行う営農型太陽光において、適地選定や農作物収量と発電量の同時シミュレーションを行うAIをAzure上で構築し、発電事業と営農の調和を目指す。
3つ目は「エネルギー関連ソリューションの高度化」だ。Azureなどを用いて顧客のエネルギー利用実績を分析・最適化し、産業分野における企業の脱炭素化と省エネルギーを支援する。
4つ目は「AIエージェントの全社展開」である。Microsoft Copilotなどの生成AIツールを展開し、管理間接業務を中心に業務プロセスを再設計してAIエージェントによる自動化を推進。従業員が付加価値の高い中核業務に集中できる環境を整える。
日本の大手電力・エネルギー事業者におけるAI技術の活用方針を比較すると、各社の強みや注力領域に応じた差異が見られる。
| 電力・エネルギー事業者 | 主なAI基盤・提携先 | 重点注力分野 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 中部電力 | 日本マイクロソフト(Azure / Copilot) | 電気工事ロボット・営農型太陽光・業務エージェント | フィジカルAIによる現場危険作業の機械化と全社DX |
| 関西電力 | OpenAI(ChatGPT Enterprise等) | 業務高度化・社内ナレッジ検索 | 大規模言語モデルの全社展開とオフィス生産性向上先行 |
| JERA | 自社開発基盤・マルチクラウド | 火力発電所の運転最適化・予知保全 | 発電プラントの長期運用コスト削減と保守高度化 |
中部電力の取り組みの特徴は、オフィス業務の効率化にとどまらず、高所作業車ロボットや営農型太陽光といった物理インフラ現場の最前線にAzureベースの画像認識AIを直接組み込んでいる点にある。
少子高齢化に伴う労働人口減少や熟練作業員の技術継承は、国内インフラ事業者共通の深刻な経営課題となっている。電気工事現場での高所作業をAIロボットが代替・支援する試みは、人手不足への抜本的対策と安全性の向上を両立させる先駆的事例となる。
一方で、高所作業ロボットの現場実証が完了し本格配備に至る具体的なスケジュールや投資規模、営農型太陽光AIの商業運用開始時期については今回の発表では未公表である。実証段階から実現場への本格導入に向けた安全性検証やシステム運用の安定性が今後の成否を握る。
引用元:ビジネス+IT