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Jack Dorsey氏が率いる米Block(旧Square)は、人間の会話音声データのみを用いてゼロから学習された新しい音声AIモデル「Dessa」を公開した。従来の音声アシスタントのように音声を一度テキストに変換する工程を省き、音声信号を直接入出力するSpeech-to-Speech(音声入力をテキスト化せず直接音声として処理・生成するアーキテクチャ)方式と、聞き取りと発話を同時に行える全二重(話すことと聞くことを同時に行える双方向通信方式)(duplex)アーキテクチャを採用。ユーザーの感情やイントネーション、自然な呼吸や間の取り方を捉えたリアルな人間らしい対話を実現している。
Blockの公式発表によると、Dessaはテキストによる事前学習に頼らず「人間の生の会話データのみ(nothing but human conversation)」でトレーニングされた点が最大の特徴である。従来のLLMベースの音声モデルはテキスト経由で思考するため、音声特有の感情やニュアンスが抜け落ちやすいという課題があった。
チームリードのRagavan Thurairatnam氏や米メディア「The Verge」の報道によると、Dessaの主要な設計特徴は以下の通りである。
Dessaがもたらす技術的刷新は、従来の音声対話パイプラインとの比較でより明確になる。
| 項目 | 従来型音声アシスタント | Block「Dessa」 |
|---|---|---|
| 処理パイプライン | 音声認識(STT)→ LLM思考 → 音声合成(TTS)の3段階 | エンドツーエンドのSpeech-to-Speech直接処理 |
| 通信・対話方式 | 半二重(どちらか一方が話している間は待機) | 全二重(同時発話・相互割り込み・自然な相槌が可能) |
| 感情の知覚と再現 | テキスト情報に依存するため声のトーンを喪失しやすい | 音響特徴から感情を直接学習し、自然な抑揚で発話 |
| 動作環境 | 主にクラウド上の大規模サーバー | クラウドに加え、ハイエンドMacBookでのローカル実行に対応 |
現在、Dessaは一部のAIセーフティ研究者に対して早期アクセスが提供されている。Blockの開発チームは、音声対話AIが「人間の声に含まれる感情に対してほぼ耳が聞こえていない(deaf)」現状が対話の断絶や安全性上の問題を生んでいると指摘。感情を正しく理解し合えるAIの実現を目指すとしている。
BlockはPOSレジサービスのSquareや決済アプリCash Appを傘下に抱えており、Dessaのような超自然な音声AIは、将来的に店舗での接客自動化やカスタマーサポート、対話型コマースのUIを根本から変革する潜在力を秘めている。
一方で、あまりにも人間に酷似した音声モデルの登場は、ディープフェイクやなりすまし詐欺といった悪用リスクとも隣り合わせである。端末ローカルで動作する軽量性と高い表現力を両立させたDessaが、今後どのような安全基準や製品ロードマップを描くのか注目される。
引用元:Gizmodo